研究課題/領域番号 |
20K16662
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
豊島 邦義 北海道大学, 医学研究院, 助教 (00802414)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 双極性障害 / 認知機能 |
研究実績の概要 |
今回我々は、双極性障害寛解期における認知機能障害について、様々な角度から評価を行い、多面的に理解することを目的とした。さらに、双極性障害における主観的認知機能障害と客観的認知機能障害との関係を明らかにすることを試みた。 まず、双極性障害症状寛解期の患者33名を対象として、事象関連電位(P300)、客観的認知機能(北大バッテリー)、および主観的認知機能(Cognitive complaints in bipolar disorder rating assessment)の関係について横断的に検討した。スピアマンの順位相関分析により、P300平均振幅と客観的認知機能との間で有意な相関を認めたが、P300平均振幅と主観的認知機能との間では、有意な相関を認めなかった。本研究により、主観的認知機能よりも客観的認知機能のほうが、事象関連電位と関連する可能性が示唆された。 また、双極性障害症状寛解期の通院患者27名を対象として、認知機能障害と現在の病識との関係について、横断的に検討した。主観的認知機能評価としてCognitive complaints in bipolar disorder rating assessment、客観的認知機能評価として北大バッテリー、病識評価としてScale to Assess Unawareness of Mental Disorder Japanese Versionを用いた。スピアマンの順位相関分析により、主観的認知機能障害と現在の服薬による効果への自覚、客観的認知機能障害と現在の精神障害についての自覚が、それぞれ有意に相関した。本研究により、双極性障害症状寛解期において、主観的認知機能障害と客観的認知機能障害では、関連する病識の下位項目が異なる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
必要症例数には到達していないが、おおむね予想通りの結果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
Cognitive complaints in bipolar disorder rating assessmentを用いて、双極性障害患者だけでなく、健常者あるいは他の精神疾患を有する患者の認知機能も評価し比較する予定である。これにより、双極性障害患者に特異的な認知機能障害が明らかとなる可能性がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文掲載料に使用したところ、学会員の割引が適用されたため、差額が生じた。
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備考 |
COBRA日本語版をダウンロードすることができる。
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