研究課題/領域番号 |
20K16663
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
桂 雅宏 東北大学, 大学病院, 助教 (50535151)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 早期介入 / 双極性障害 / ハイリスク / 評価尺度 |
研究実績の概要 |
双極性障害発症リスク状態(Bipolar At-Risk:BAR)に対して開発されてきた診断基準に関する文献的検索を改めて行い、現在世界で公表されている主要な4つの評価基準を同定した。各々について、評価尺度作成者に連絡を行い、尺度や使用マニュアルの送付を依頼した。現在までに可能なものは送付を受けおり、BARの評価法についてのレビューの準備を行っている。 その中で、本研究で使用予定であったBARのための半構造化面接SIBARS(Semistructured Interview for Bipolar At Risk States)の開発者とは特に密に連絡をとっている。しかし、本研究では既に発表された最新の尺度を邦訳して使用する予定であったが、現在尺度の改訂版を製作中であり、それが完成間近であることから、尺度の提供を待つよう、尺度の開発者より指示を受けた。そして、開発者の研究所(英国)がコロナウイルス感染症蔓延の影響で機能低下しており、予定していた評価者尺度の発表・実用化が進まなくなってしまい、再三の催促を行っているが、現時点で最新版の入手ができていない状況が続いている。 以上の状況から、予定していた評価尺度の翻訳・逆翻訳、それを用いた後方視的研究、縦断追跡研究とも開始できない状況が続いている。やむを得ず、それらに用いる活動量計の候補選定、マニュアル類の整備や倫理申請の準備、データベースや検査用紙の準備などを行い、最新版の尺度が入手できた段階で直ちに研究を進められるよう備えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述したように、研究開始後直ちに入手可能な予定であった最も大切な評価尺度の入手が英国の尺度開発者側の事情、特にコロナウイルスに関連した事情により滞った影響で、日本語版の尺度の準備ができず、以降の研究が全般に遅延した状況となっている。尺度の入手時期により、期間中に可能な研究の規模、内容が規定されてくるため、それに合わせて幾つかの案を検討する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き英国の尺度開発者と密に連携をとり、可及的速やかに尺度の入手が行えるよう働きかける。尺度入手後の研究遂行がスムーズに行えるよう、旧版の評価尺度の提供を依頼し、新版の翻訳の下準備をしたり、尺度入手後に開始する研究本体部分の準備や購入物に関する検討を残る期間に合わせて幾つかにパターン分けしながら行っておく。 場合によっては、BARの症例数を十分に集め、双極性障害の顕在発症まで追跡するための期間を確保することが非常に困難となってくるため、症例の縦断追跡を諦め、インテイク時の横断的評価(症候学的評価と活動量計、評価尺度による評価)を重点的に行い、尺度の有用性を検証することも視野に入れる。
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次年度使用額が生じた理由 |
前述の通り、本研究で用いる予定であった最新版の評価尺度の入手の段階で研究が滞ってしまったため、尺度の邦訳・逆翻訳に要する経費を消化できなかった。そして、それを用いた縦断研究の開始時期の目途が立たなくなり、研究内容の見直しを行う必要が生じたことから、活動量計や解析ソフトの購入を一時見送り、参加者に対する謝金支出も行えなかった。またコロナ禍で参加を予定していた遠方の学会が中止となり、その分の予算消化も行えなかった。以上の理由から、多額の研究費を次年度以降に繰り越す形となった。 次年度以降は、可能な限り元来予定していた計画に従い随時経費を消化していく予定である。すなわち、元来の計画書にあるように、評価尺度の翻訳・逆翻訳と、その発表から行い、残された期間で可能な研究内容を見直すことで活動量計の購入の是非を検討し、研究参加者への謝金を支払っていきたい。
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