研究課題/領域番号 |
20K16666
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西村 文親 東京大学, 相談支援研究開発センター, 講師 (20758990)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 一卵性双生児統合失調症不一致例 / 統合失調症 / DPYD / DPD活性 / mRNA発現解析 |
研究実績の概要 |
統合失調症は、幻覚妄想などの陽性症状および感情鈍麻・意欲低下・思考障害・社会的ひきこもりなどの陰性症状により社会的機能が低下する慢性精神疾患である。十分な治療法が存在せず、当事者のみならず家族も大きな苦悩を抱え、病態、特に生物学的な病態の解明が急務である。申請者は、これまで一卵性双生児統合失調症不一致例由来のサンプルを用いた研究を行ってきた。一卵性双生児疾患不一致例では、疾患以外の個人間差異を可能な限りキャンセルできることが想定され、もし生物学的な差異があれば、疾患への高い浸透率を有する可能性が示唆される。申請者らは、新規に見出した3組の一卵性双生児不一致例の網羅的mRNA発現解析から、DPYD (dihydropyrimidine dehydrogenase)及びIGHM (immunoglobulin heavy chain constant region mu)の2遺伝子の発現量が双生児内の患者側において3組共通に低下していることを見出した。一卵性双生児内における差異は、個人間差異を最小化するものと考えられ、不一致例でみられたこれらの遺伝子発現の低下は、統合失調症病態に関与している可能性がある。本研究では、DPYD及びIGHMのmRNA発現量の低下が、非血縁の健常対照者と統合失調症患者由来のリンパ芽球様細胞においても観察されるかを確認し、疾患関連遺伝子としての可能性について検討する。 (DPD活性について) DPD活性の測定について、末梢血単核球を用いた文献の検索を行っている。その他にも、DPD活性の測定法として、尿中ウラシルとディハイドロウラシル の比を用いたDPD活性の推定方法もあるので、実際のDPD活性の測定方法について検討を行っている。 (DPYDのmRNA発現解析) DPYDのmRNA発現解析のための統合失調症患者の用意をすすめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
DPD活性についての測定系の確立が出来ていない。
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今後の研究の推進方策 |
DPD活性を測定するための系を検討していく。 引き続き文献検索を行うと、実際の実験系の確立を目指す。 同時にDPYDのmRNA発現解析のために、リンパ芽球用細胞の培養を進め、発現量の測定を行える用意を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
残額が少額であり、使用が困難であったため、今年度使用を検討する。
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