研究実績の概要 |
PVニューロンのみに遺伝子組み換え酵素遺伝子Creを発現するマウスとKcns3遺伝子の蛋白質コード遺伝子がCreが認識するloxP配列で挟まれたマウスを掛け合わせPV-Cre:flox-Kcns3マウスを作成した。これにより、PVニューロンにおけるkcns3遺伝子の遺伝子型が野生型(+/+, n=5)、ヘテロ型(flox/+, n=5)、ホモ型(flox/flox, n=5)のマウス(PV-Cre;flox-Kcns3マウス)を得た。さらにKcns3の遺伝子にneomycin耐性の外来遺伝子を組み込み不活化し、Kcns3遺伝子が野生型(+/+, n=5)、ヘテロ型(neo/+, n=5)、ホモ型(neo/neo, n=5)のマウス(Kcns3-neoマウス)を得た。これらのマウスから前頭部大脳皮質の切片を作成し、Kcns3と結合しカリウムチャネルを構成するKcnb1の発現を2重標識in situ hybridization法で評価した。その結果Kcnb1 mRNAの発現には遺伝子型間で有意な差は認められなかった。また、これらのマウスの前頭部大脳皮質よりRNAを抽出し、real-time PCRでKcns3の発現を調べたところ、PV-Cre:flox-Kcns3マウスでは、野生型に比べ、ヘテロ型で19%、ホモ型で37%、それぞれ有意(F2,12=67.0, P<0.0001)に低下、Kcns3-neoマウスでは、野生型に比べ、ヘテロ型で26%、ホモ型で45%、それぞれ有意(F2,12=82.5, P<0.0001)に低下していた。さらに、PVニューロンに発現することが知られている他の電位依存性カリウムチャネルとして、Kcnab3, Kcnc1, Kcnc2, Kcnk1, Kcnk3の発現をKcns3-neoおよびPV-Cre:flox-Kcns3マウスの大脳皮質においてreal-time PCRにより計測したが、いずれの分子についても有意な発現変化は認められなかった (Kcns3-neo マウス:F2,12 < 1.2, P> 0.32, PC-Cre; floxマウス:F2,12 < 1.2, P> 0.32)。
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