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2021 年度 実施状況報告書

独居という生活環境が軽度認知障害患者の脳機能に及ぼす経時的影響について

研究課題

研究課題/領域番号 20K16669
研究機関大阪大学

研究代表者

末廣 聖  大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (30866611)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード軽度認知障害 / 独居 / 高齢者 / 認知機能 / 脳機能 / ADL
研究実績の概要

本研究では独居の軽度認知障害者を経時的に観察し、同居者がいる場合と比べて認知機能や神経画像などの脳機能がどのように変化するか解明することが目的である。
これまでの73例のリクルートが行えた。しかし、独居者が18例と独居群のリクルートに難渋した。そのため、当研究室の2011年以降のデータベースから今回の研究計画で予定していたデータを収集できているものをあわせて、解析を行うこととした。データ数は計150例、独居者33例、同居者117例となった。両群の臨床症状を横断的に比較したところ妄想の程度をしめすNPIの妄想の項目、近時記憶障害の程度を評価するWMS-Rの論理記憶課題の得点、および孤独感をしめすUCLA孤独感評価尺度第3版の得点がそれぞれ独居群で有意に悪い傾向を示した。これらから、独居という環境が妄想および孤独感に悪影響を及ぼす可能性が示唆された。記憶障害への影響については、記憶障害そのものへの悪影響、という可能性と、認知障害が同居群より進行するまで気づかれず受診につながらなかった、という可能性など様々考えられ、さらに縦断的な解析も必要と考えられた。縦断的解析にはデータ数が不足しているため、データ数を増やして解析を行う方針とした。
また、独居という環境を社会的孤立の一つの指標と捉え、それが孤独感とどう関連するか、という視点でも解析を行った。UCLA孤独感評価尺度第3版の得点を従属変数とし、社会的孤立の指標、認知機能検査の得点、精神症状の得点などを説明変数として重回帰分析を行ったところ、抑うつを示すGDSの得点が有意な説明変数となり、孤立を示す尺度は有意とならなかった。このことから、軽度認知障害者においては孤立と孤独感が必ずしも一致しないこと、孤独感の方が抑うつと関連するため別途注意を要することがわかった。本結果は、第20回精神疾患と認知機能研究会にて発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

COVID19流行拡大の影響が続いており、当院受診者が想定よりも少なくなっていることや当初の想定よりも独居者の数が少ないことなどが原因でリクルートがやや遅れている。

今後の研究の推進方策

上述の通り想定よりもリクルートに難渋しているが、過去のデータベース上にすでに今回の計画と同様のデータはある程度は蓄積されているものもあるので、今後もリクルートを進めていくと同時に過去のデータとあわせて解析を行っていく予定としている。

次年度使用額が生じた理由

研究の進捗予定に変更があったため。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 軽度認知障害および軽度認知症における孤独と認知機能の関係について2022

    • 著者名/発表者名
      末廣聖、鐘本英輝、垰本大喜、佐竹祐人、小泉冬木、佐藤俊介、吉山顕次、池田学
    • 学会等名
      第20回精神疾患と認知機能研究会

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公開日: 2022-12-28  

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