研究課題/領域番号 |
20K16671
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
崎元 仁志 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 助教 (80813667)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ChAcモデルマウス / 症状誘発因子 / てんかん |
研究実績の概要 |
有棘赤血球舞踏病(以下ChAc)は、常染色体潜性(劣性)遺伝性の神経変性疾患であり、末梢血の有棘赤血球症と、舞踏運動などの運動症状に加え、てんかん発作は約40%に見られる。ヒトChAcの臨床表現型は多彩で個体差が強く、 症状修飾因子の存在が示唆されている。当実験室が飼育していたChAcモデルマウスにおいて、継代を重ねるうちにてんかん発作を起こしやすいChAc変異を有する個体が同一家系に複数出現するようになった。129S6マウスのてんかん家系内の各個体についてテール等から遺伝子DNAを抽出し、ビデオ撮影を用いて、てんかん家系マウスの行動を観察し、各個体のてんかん発作の有無を評価し、脳波検査を行った。家系内でVps13a変異をホモ接合性に有するマウスについて、てんかん発作を生じ脳波上も突発波を認めた個体と、てんかん発作がなく脳波にも異常所見を指摘できない個体を同定した。ChAcの遺伝子変異に加えて、てんかん発作を生じる症状修飾因子として遺伝子変異がde novoに生じたことが強く示唆され、マウスのてんかん表現型解析と分子遺伝学的手法により候補遺伝子Xを同定した。てんかんを起こしたマウスの系統維持を行っており、遺伝子Xの変異を有するChAcモデルマウス(n=11)、遺伝子Xの変異を有さないChAcモデルマウス(n=8)、遺伝子Xの変異を有する野生型マウス(n=11)、遺伝子Xの変異を有さない野生型マウス(n=12)の4系統を作成し、てんかん発作の再現性を確認している。現時点で、二つの遺伝子変異をもつマウスは、他の系統と比較しててんかん発作を起こしやすくなる傾向にあった。個体数を増やし、てんかん誘発の実験を行っており、遺伝子Xの変異を有するChAcモデルマウスは他の系統よりもてんかん発作をきたしやすい傾向にあることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在結果を解析しており、遺伝子Xの変異を有するChAcモデルマウスは他の系統よりもてんかん発作を起こしやすい傾向にあることが判明している。しかし、有意な結果であるというところには至っていない。今後、個体数を増やす必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝子Xの変異を有するChAcモデルマウスはてんかん発作をきたしやすい傾向にあると考えられるが、個体数が十分で無いため有意差が出るまでに至っていない。今後も個体数を増やす必要がある。
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