本研究では、ベンゾジアゼピン系薬剤の依存性や持ち越し効果、記憶障害等に伴う認知機能低下に対して問題視を抱き、社会参加制限の改善を目標としている。 今回の研究方法としては、ベンゾジアゼピン系薬剤の減量や中止を目指す患者に対し、認知機能の変化をミスマッチ陰性電位(Mismatch negativity;MMN)やP300という事象関連電位(Event-related potential;ERP)などを用いて計測を行った。本研究では、ERP測定のほか、認知機能の変化を数字符号置換検査(Digit Symbol Substitution;DSST)やTrail Making Test 日本版 (TMT-J)、Perceived Deficits Questionnaire-5 (PDQ-5)でも計測し、睡眠への自己評価をアテネ不眠尺度 (Athens Insomnia Scale ; AIS)で計測を行った。 昨年1年間で研究参加された患者は新型コロナウイルス流行の関係もあり、1例にとどまった。しかし、この1例は不眠症状の再燃もなくベンゾジアゼピン系薬剤を減量中止することができ、一連の検査を終えることができた。本人は認知機能の変化に関して自覚的な変化の印象は受けていないようであったが、今回検査を行ったもので他覚的な変化が得られていないか検討を行っていく。 目標症例数は40例としているため、今年度薬剤減量を検討されている患者がいたら研究への参加を呼びかけていく。
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