研究課題/領域番号 |
20K16677
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
三村 悠 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (10868011)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 軽度認知障害 / アルツハイマー型認知症 / TMS-EEG / 皮質興奮抑制バランス |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、近年開発された経頭蓋磁気刺激法(transcranial magnetic stimulation: TMS)と高精度脳波計測装置を組み合わせた、刺激と神経生理反応を同時に計測できる実験系(TMS-EEG同時計測法)を用いて、アルツハイマー型認知症(Alzheimer's disease: AD)患者、健忘型軽度認知障害(amnestic mild cognitive impairment: aMCI)患者、健常各20名において、その神経基盤に対する前頭前野のコリン作動性・GABA作動性・グルタミン酸作動性神経生理機能及び神経可塑性を調べ、健常からMCI、さらにADへの移行を予測できるバイオマーカーを同定することである。 2020年度においてはまず、TMSと筋電図(EMG)を用いてaMCI及びAD患者に対して神経生理機能評価を行なっている研究について包括的レビュー及びメタ解析を行った。結果として1) AD群では健常群に比して運動野の興奮性が高い、2) AD群ではGABA(A)受容体神経生理機能を反映する皮質抑制指標である短潜時皮質内抑制(short-interval intracortical inhibition:SICI)が有意に低い、さらに、3) AD群ではacetylcholine受容体神経生理機能を反映する皮質抑制指標である短潜時求心性抑制(short-latency afferent inhibition: SAI)が有意に低いことを示した。(Neuroscience and Biobehavioral Reviews 121: 47-59, 2021.) そして本研究においても実際に6名の患者をリクルートし実際に実験系が回ることが確認された。データについてもプレ解析を行い、解析にあたっては問題ないことを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初は月2-3名のリクルートを想定していたが、コロナ感染症の影響を受け、リクルートは中断を繰り返した結果6名のリクルートにとどまった。感染症の状況をみながらまたリクルートに力を入れていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後はコロナウイルス感染症の影響を鑑みながら少なくとも月1-2名のリクルートをしていく予定である。緊急事態宣言があけた2021年6月から2022年3月までかけて10-20名のリクルートにあたる見込みである。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度ははコロナ感染症の影響も受け、リクルートが予定の半数以下であったため来年度に実験の回数を増やす。その際の物品費用に当てる予定である。さらに2020年度は学会出張も全て自粛したため、旅費が生じなかったが、2021年度は成果発表に当たる予定である。
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