研究課題/領域番号 |
20K16684
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研究機関 | 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所 |
研究代表者 |
Borgil Bayasgalan 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 障害システム研究部, リサーチレジデント (20865175)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ペアパルス抑制 / プレパルス抑制 / 脳波 / 脳磁図 / 自閉症 / てんかん |
研究実績の概要 |
てんかんは、脳の神経細胞の過剰な電気的興奮(発火)により脳症状(てんかん発作)を主徴とした慢性疾患である。薬物治療は7割に有効だが、残り3割は難治に至る。患者さんに合った適切の薬物選択は課題になっている。脳の抑制系機能の評価は薬物治療に有意な手段になり得る。 ペアパルス抑制機能計測のパラダイムについて、短潜時抑制(プレパルスーテスト間隔20-60ミリ秒)と長潜時抑制(第1刺激ー第2刺激間隔600-700ミリ秒)それぞれの再現性を検討した。1週間の間隔をおいて2度計測し、テスト刺激の振幅および抑制率を2回の計測で比較した。いずれのパラダイムにおいても再現性は良好で、抑制系検査の信頼性は確保されていると考えられた。成分では、p50の信頼性が比較的低く、N100もしくはN100/P200の信頼を用いるのが良いとの結果であった。ただし、一般的なペアパルス抑制(p50 gating)で用いられるような強い低域通過フィルターを採用していないことが、p50の不良な再現性の一因となったと考えられる。 本年度当パラダイムを利用して自閉症患者さん3名の脳波データを収取できた。いずれも健常者と比較して抑制率が低い傾向を示しているが、症状との関連や短潜時と長潜時の両者を合わせた傾向についてはさらに例数を増やして検討する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
パラダイムの確立と健常者でのテストー再テスト再現性の確認は終了し、健常人データが蓄積できたが、臨床患者群の計測を開始したところで新型コロナ感染大流行が生じ、思うようなデータ収集が進まなくなった。健常者よりも慎重な対応が必要と考えられ、いたしかたない。体調確認や検査室の消毒など、十分な対策ができる体制はできているので、感染の勢いをみながら進めている。
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今後の研究の推進方策 |
残されている計画は抑制系計測の項目と臨床症状(病型、てんかん発作の種類や薬物反応性)との関連であり、データは集まりつつある。項目ごとの下位検査に十分な例数が集まるかどうかが問題であるが、得られているデータの内容としては、全く問題なく進んできている。感染対策を講じながら進めてゆきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染大流行により、計測が一時完全にストップした。その後も流行の様子をみながら再開ー中止を繰り返しており、主に患者さんからの計測に伴う被検者謝金払いや論文出版費用への支出が予定よりも大きく下回った。脳波室の消毒や体調管理など既に感染予防対策は十分に行っており、令和3年度は可能な範囲内でデータ収取に努めたい。
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