神経細胞はグリア細胞や血管内皮細胞よりも放射線抵抗性が高い。しかし、治療のための中枢神経系(CNS)への急性・慢性照射は、記憶障害や言語障害などの副作用が引き起こされる。我々は、既に知られているX線照射による神経細胞の形態変化と比較して、より効果的な放射線治療である炭素線照射による神経細胞の形態変化について解析した。結果として、炭素線は細胞死を誘導するが、細胞の発達には影響を与えないことが示唆された。また、炭素線が未熟な神経細胞に影響を与え、DNA損傷、シナプス蛋白質の発現レベルの低下を引き起こした。これらの結果から炭素線照射による神経細胞の機能低下はDNA損傷が引き金であると示唆された。
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