研究課題
本課題では,四肢の骨微細構造を描出するため,被写体に検出器を近づける”近接ジオメトリ”型の高解像度CTについての応用技術開発を行った.当初案では,汎用型のCT装置の検出器部分の上に高精細検出器システムを構築する方法について,応用技術を検討した.この手法では,ヘリカルスキャンを実現し,従来法よりも広範囲に高解像度な画像が得られることを確認できたが,汎用性が低いことなど,今後の発展を見込むことが難しいと判断した.そこで,既存のCT装置を必要としない独立したCT装置の構築を試みた.この独立型のCTシステムでは,アルミフレームを用いてガントリを構築し,リングレール上にX線管と検出器を対向に配置した.X線焦点由来の幾何学的不鋭を低減するため,拡大率を1.22倍に設定した.これにより,撮像視野が限られるものの,人体の四肢を収容するには十分であった.また,従来の方式よりも,短時間で,広範囲の撮像が可能となった.現状は,6.5 秒のスキャン時間で,50 mm幅のスキャン範囲を確保した.開発システムの空間分解能は,臨床用のCTに比べて,明らかに高く,約0.13 mm程度の解像度を有することが推定された.また,人体足部模擬物体(乾燥骨を含んだファントム)の画像は,横断像だけでなく,矢状断や冠状断においても骨梁が明瞭に描出されていることを確認できた.さらに,四肢を専門とする整形外科医師から今後の発展が期待される評価も得た.この結果を取りまとめ,国際学会で発表を行った.
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Proc. SPIE 12925, Medical Imaging 2024: Physics of Medical Imaging
巻: 12925 ページ: 129251W-1-5
10.1117/12.3004919