研究課題
近年、頭部外傷の分野で慢性外傷性脳症という新たな病理学的背景に基づく疾患概念が注目されているが、現時点では慢性外傷性脳症の診断は剖検に頼るしかなく、生前に診断する方法は確立されていない。また、臨床診断を行うにしても客観的な診断法がないため、典型的な症状が出現した時点で既に病変が相当進行しているケースがほとんどであり、慢性外傷性脳症に対する安全かつ客観性の高い早期診断方法が求められている。本研究の目的は、反復性軽度頭部外傷から一定の期間を経てみられる進行性の神経変性疾患である慢性外傷性脳症における脳代謝異常をFDG-PETで明らかにすることにより、慢性外傷性脳症の予知ならびに早期治療の確立につなげることであった。研究期間全体を通して新型コロナウイルスの影響があり被験者のリクルートや検査実施が困難となり研究を予定通り進めることが難しかった。そのため、前年度から引き続いて最終年度もまず健常者における脳FDG-PETの正常像を知るため、当院のPET検診受診者のうち、脳疾患の既往ならびにコンタクトスポーツの経験がない受診者を年代別に分けてデータを収集、解析を行い、健常者における脳内の糖代謝の低下の程度とそのパターンを評価した。来年度以降はその結果を踏まえて、コンタクトスポーツ経験者の脳糖代謝の測定、健常者との比較検討を行い、脳MRIやMMSEなどの認知機能検査も併せて評価することを目標としている。
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Japanese Journal of Radiology
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