研究課題/領域番号 |
20K16708
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
深田 恭平 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (00647266)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 放射線治療 / 医学物理学 / 有害事象予測 / 機械学習 |
研究実績の概要 |
がん等への放射線治療を行う際には,標的となる腫瘍などの周辺にある正常組織への有害事象は可能な限り小さくするべきである. 現在,放射線治療計画立案時は「この臓器のどれだけの体積にどれくらいの線量があたっているか」を指標にしている.体積と線量の2つの因子のみに依っており,臓器内の線量分布の位置情報を有効に活用できていないと考える.つまり,例えば,同じ肝臓の中でも放射線が集中して当たれば臓器としての機能に影響が大きい部分と,そうでない部分があるはずである. 本研究では,機械学習を用いたアプローチにより,正常組織への有害事象を正確に予測するモデルの構築を試みている.医用画像を直接的に機械学習モデルに組み込むことで,前述の体積と線量のみによる予測モデルをアウトパフォームすることを目標としている. 本研究では,CT等の医用画像と,放射線治療時に使用する各臓器の輪郭情報(位置情報),及び放射線治療計画立案時に作成される体内の放射線の線量分布を入力とし,治療後の有害事象の起こる確率を出力とする深層学習ネットワークを構築した. 教師データとなる画像,輪郭情報,線量分布および治療後の有害事象の有無のデータを後ろ向きに取得した.学習前のデータの整形も完了し,現在はネットワークの学習を始める段階にある.深層学習ネットワークはいくつか候補となるものがあり,更に本研究で扱うデータに合わせてチューニングなども行っていく必要がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究において最も時間と手間のかかるCT画像,輪郭情報,放射線線量分布,および臨床的な有害事象の情報を取得したので,順調に進展していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
深層学習ネットワークをいくつかの候補の中から選び,学習させる.チューニングを行い,既存のモデル(Lyman-Kutcher-Burman NTCPモデル)のパフォーマンスと比較する.
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19により出席を想定していた学会がオンライン開催となり,旅費を支払う必要がなくなったため. 英語論文の校正費用やオープンアクセスの負担費用に充当する.
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