本年度の研究結果としては、大量ナノバブル存在下で増強したキャビテーションによる経皮吸収促進を証明するため、動物実験を行った。 年度の前半では研究計画の再考と準備を行い、後半で実験の実際を行った。 当初の予定では実験はラットで行うこととしていたが、準備の段階でラットでは対象が小さく、実験手技が煩雑であることが分かった。さらに、テクネシウムを用いた場合も小動物ではコンタミネーションやアーチファクトの影響が強くなることが実際の計画と準備の段階で明らかとなった。このため、実験は豚を用いたものに切り替え、投与する薬剤は血中濃度測定も自然界には存在しない白金の検出により推定可能なシスプラチンを用いることとした。 これまでの年度に作成した大量ナノバブル含有液体にシスプラチンを混和させ、シスプラチン‐ナノバブル含有液体を作成した。これを用いて、豚に薬剤塗布のみを行った群と薬剤塗布とエコー照射によるキャビテーションの追加した群で処置前後に採血を行い、それぞれに血中シスプラチン濃度測定を行った。 シスプラチンン測定自体はより厳密な測定が必要であったが、投与手技は問題なく行えることがわかった。この手技により、大量なのバブル存在下で増強したキャビテーションによる経皮促進は行われている。 これまでの実験からはエコーゼリーに大量のナノバブルを生じさせること、それにシスプラチンを含有してシスプラチン‐ナノバブル含有液体作成方法の確立ができたこと及び、上記の薬剤投与手技の確立である。これにより他の薬剤投与も可能となる。
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