本研究では、心不全モデルマウスを作成し、コントロールマウス、心不全マウスに対してX線および炭素イオン線をそれぞれ照射し、心不全への影響の有無や不全心に対して線質の違いによる効果の違いがあるのかを検討し、臨床への応用を目指している。具体的には、炭素イオン線の心臓への影響、特に心不全状態の心臓への影響もしくは治療効果について明らかにすることを目的としている。①放射線治療により、心不全は改善するのか。悪化するのか。②X線と炭素イオン線を用いた場合で、効果に違いはあるのか。③照射後の分子生物学的メカニズムの解明。 実験としては、心不全モデルマウスの作成、炭素線・X線による照射、心不全改善効果の測定、真菌細胞内の分子生物学的メカニズムの評価を行う予定である。 昨年度、心不全モデルマウスの作成と、炭素線・X線照射の条件検討などをおこなった。 今年度は、昨年度作成した心不全モデルマウスに対して、X線照射、炭素線照射を行い、照射後2週間、4週間の検体(血漿、心臓、肝臓、肺)を採取した。照射は全身麻酔下で固定し実施しているが、X線、炭素線ともに問題なく、照射を行い、その後の覚醒も確認できている。心臓については、照射後定期的に超音波検査を実施し、その経時的な測定結果について、比較し解析している。それぞれの検体については免疫染色を行い、照射による線維化の程度について検討した。2週間の検体については一部、血漿の PCR検査を行い、心臓関連因子の測定を行なった。また、照射範囲の線量分布について、想定の照射が行われているか治療計画を作成し、照射後の有害事象の確認を行なっている。
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