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2020 年度 実施状況報告書

大腸癌肝転移におけるCT・MR画像所見は組織学的性状および長期予後を予測可能か?

研究課題

研究課題/領域番号 20K16720
研究機関東京大学

研究代表者

中井 雄大  東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40785359)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード大腸癌肝転移 / MRI / Gd-EOB-DTPA / 生存予後 / 再発予後 / 脈管侵襲
研究実績の概要

当該年度は1編の論文を報告した(Radiology. 2020;297(3):584-594.)。これは肝特異性造影剤であるgadoxetic acidを用いた造影MRI(EOB-MRI)において、大腸癌肝転移周囲の肝実質の所見と切除後の長期予後との関連を評価したものである。具体的には肝転移末梢に、肝実質の早期濃染、gadoxetic acid取り込み低下、胆管拡張のいずれかが見られる場合に全生存期間が短縮し、また胆管拡張例では無再発生存期間が短いという結果を示した。また胆管拡張例では病理学的にも門脈侵襲および胆管侵襲を伴う率が高いことを示した。大腸癌肝転移においては、サイズや個数を除いた画像評価による予後予測の報告はほとんどなく、術前に患者の予後を予測できれば臨床的に意義が大きい。これは個々の患者に応じた治療法の選択にもつながると考えられる。Radiology誌は放射線科領域のtop journalであり、この臨床的意義が高く評価されたものと考えている。
そのほか上記と同じデータセットを用いて、MR画像のテクスチャ解析によって患者の予後を予測するという研究を遂行中である。テクスチャ解析を用いることによって、定量的な評価が可能となり、より客観性の高い評価手法が確立できるのではないかと考えている。現在は評価を終え統計解析中の段階である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

大腸癌肝転移においてCT・MR画像所見から組織学的性状および長期予後を予測するという目的に対して、肝特異性造影剤であるgadoxetic acidを用いたMR画像所見から一部病理所見と長期予後の予測が可能であるという論文を報告できた(Radiology. 2020;297(3):584-594.)。放射線科領域のtop journalに報告することができ、研究目的の根幹部分を達成できたことから、当初の計画以上に進展していると考える。

今後の研究の推進方策

これまでにgadoxetic acidを用いた造影MR画像所見から大腸癌肝転移の術後再発予後および生存予後を予測しうることを示した。今後はこの研究をさらに深める方針として、①早期再発が予測される患者では実際にどこに腫瘍が再発してくるのか、②長期予後不良が予測される患者における術前化学療法の有用性、③化学療法後でも同様の評価方法が有用か、などの評価を進めていきたいと考えている。
またこれと並行して、大腸癌肝転移をテクスチャ解析を用いて定量的に評価することで、視覚的な評価よりも予後予測性能が高まるかどうかの検討も行っていきたい。

次年度使用額が生じた理由

2020年度はCOVID-19の蔓延により旅費および学会参加費用が大幅に削減された。
2021年度は未発表の研究報告並びに最新の知見についての情報収集のために積極的に学会に参加する予定である。また定量的な画像解析のために、十分な計算能力を有したコンピュータ並びにモニタの購入予定である。他には現在進行中の研究の英文構成費用並びに執筆のための文献調達費用としての支出を考えている。さらに大腸癌肝転移の画像所見と病理所見の詳細な評価を行うためには、追加の病理染色が必要であり、データベースの拡張に伴って適宜染色を追加する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] MRI Findings of Liver Parenchyma Peripheral to Colorectal Liver Metastasis: A Potential Predictor of Long-term Prognosis2020

    • 著者名/発表者名
      Nakai Yudai、Gonoi Wataru、Kurokawa Ryo、Nishioka Yujiro、Abe Hiroyuki、Arita Junichi、Ushiku Tetsuo、Hasegawa Kiyoshi、Abe Osamu
    • 雑誌名

      Radiology

      巻: 297 ページ: 584~594

    • DOI

      10.1148/radiol.2020202367

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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