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2021 年度 実施状況報告書

ピロリン酸シンチグラフィの三次元定量評価を用いた心アミロイドーシス診断の研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K16721
研究機関金沢大学

研究代表者

渡辺 悟  金沢大学, 先進予防医学研究科, 特任助教 (90859703)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードピロリン酸シンチグラフィ / 心アミロイドーシス / ATTR / SPECT / 定量評価 / SUV / PYP / 三次元
研究実績の概要

【具体的内容】
①ピロリン酸シンチグラフィを用いたATTR心アミロイドーシスの診断において、従来の二次元定量評価よりも、三次元定量評価(SUVや集積体積指標cardiac pyrophosphate volume: CPV)の方が、診断精度が優れていることを示した。②CPVを用いた診断精度は、ごく一部の例外を除き、ゴールデンスタンダード(心筋生検)と同等であることを示した。③CPVは他の検査の心機能指標(LVEF、BNPなど)と相関すること、従来のピロリン酸集積定量評価法よりも相関が強いことを示した。④ピロリン酸の注射後、1時間後撮像も3時間撮像も、二次元定量評価・三次元定量評価ともに診断精度に有意差がないことを示した。
【意義・重要性】
①従来の二次元評価で偽陰性・偽陽性と診断された患者を正しく診断できれば、治療方針が変わり、予後の改善が期待される。②ATTR心アミロイドーシスの診断のゴールデンスタンダードは心筋生検だが、心機能が低下した患者あるいは高齢の患者では危険である。ピロリン酸シンチグラフィにて低侵襲かつ高精度に診断できれば、患者のリスクを減らし、なおかつ早期診断につながる。同疾患の日本初の原因治療薬である新薬タファミジスは早期ほど効果を発揮することが報告されており、予後の改善が期待される。③CPVが「疾患の重症度のより精密な定量評価」や「治療効果判定」などに活用できることが期待される。タファミジスは非常に高価な薬であり、CPVによってタファミジスのより効果的な投与方法が分かれば、医療経済の面からも貢献度が高い。④日本では3時間後に撮像することが多いが、1時間後の撮影にて検査が終了できれば、患者のQOLが向上する。病院滞在時間の短縮により、院内感染のリスクも低下するし、病院職員の負担も減る。また、検査効率が上がり、放射線技師のQOLも向上する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

三カ年計画の3分の2以上について2年目で見通しが立った。
心臓核医学の分野で最も権威のある国際誌JNCに論文を掲載し、国内外の各分野トップクラスの学会にて精力的に成果を発表することができ(英語2つ、日本語2つ)、その他に招待講演1つも行った。核医学の分野で最も権威のある米国核医学会SNMMIでの発表はHighlights Symposiumにて紹介された。
さらに、研究の進展により、より重要な発展課題が見つかった。

今後の研究の推進方策

【研究の推進方策の概要】3年目にさらに症例数を増やし、以下の3つなどについて研究を進展させる。①三次元定量評価法の確立および従来法との評価精度の比較、②三次元定量評価法の改良、③他の検査とピロリン酸シンチグラフィの比較および相補的利用の検討。
【対象症例】心アミロイドーシスの疑いがありピロリン酸シンチグラフィを実施した症例であり、最終的に心アミロイドーシスではないと診断した症例も含む。
【研究の詳細項目】①三次元定量評価法の確立および従来法との診断精度の比較:①-1. 様々な臓器における集積強度の基準値のSUV評価、①-2. 心筋生検(ゴールデンスタンダート)と比較したピロリン酸シンチグラフィの診断精度の評価、①-3. 二次元定量指標と三次元定量指標の比較。
②三次元定量評価法の改良:②-1. SUVに関連した各種指標の比較(SUVには解析方法によっていくつかの種類がある。また、SUVと集積領域の体積から算出される指標もある。臨床においてどの指標がどう活用できるのかを明らかにする)、②-2. SPECT撮像タイミングの比較(ピロリン酸の注射後、撮像タイミングは1時間後と3時間後でどちらの方が心アミロイドーシスの診断精度がよいのか比較する)。
③他の検査とピロリン酸シンチグラフィの比較および相補的利用の検討:③-1. MIBGシンチグラフィとピロリン酸シンチグラフィの比較、③-2. その他の検査とピロリン酸シンチグラフィの比較(血液検査、心臓超音波検査、心電図、心臓MRI、心臓カテーテル検査などとピロリン酸シンチグラフィ定量評価の関係を調べる)、③-3. 他の検査との相補的利用の検討(ピロリン酸シンチグラフィと他の検査を組み合わせて疾患の診断精度を評価する)。

次年度使用額が生じた理由

世界的な感染症により、参加した国際学会3つがweb開催になり、旅費が無料になったため、次年度使用額が生じた。
次年度、解析などに必要なソフトウェアの購入費用や、学会の参加費・旅費などに使用する計画である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Volumetric evaluation of 99mTc-pyrophosphate SPECT/CT for transthyretin cardiac amyloidosis: Methodology and correlation with cardiac functional parameters2022

    • 著者名/発表者名
      Watanabe Satoru、Nakajima Kenichi、Wakabayashi Hiroshi、Yoneyama Hiroto、Yoshida Shohei、Komatsu Junji、Konishi Takahiro、Inaki Anri、Kinuya Seigo
    • 雑誌名

      Journal of Nuclear Cardiology

      巻: 29 ページ: 3102~3110

    • DOI

      10.1007/s12350-021-02857-7

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 心アミロイドーシスの診断における核医学の役割2021

    • 著者名/発表者名
      渡辺 悟
    • 学会等名
      第61回日本核医学会学術総会 核医学会シンポジウム9 心アミロイドーシスの診断・治療
    • 招待講演
  • [学会発表] Volumetric evaluation of 99mTc-pyrophosphate SPECT/CT in patients with transthyretin cardiac amyloidosis: optimization and correlation with cardiac functional parameters2021

    • 著者名/発表者名
      Satoru Watanabe
    • 学会等名
      SNMMI
    • 国際学会
  • [学会発表] Volumetric Evaluation of 99mTc-pyrophosphate SPECT/CT in Patients with Transthyretin Cardiac Amyloidosis: Correlation with Cardiac Functional Parameters2021

    • 著者名/発表者名
      Satoru Watanabe
    • 学会等名
      EANM
    • 国際学会
  • [学会発表] ATTR心アミロイドーシスにおける99mTcピロリン酸心筋集積の体積指標と心不全リスク指標の関係2021

    • 著者名/発表者名
      渡辺 悟
    • 学会等名
      日本心臓核医学会
  • [学会発表] ATTR心アミロイドーシスにおける99mTcピロリン酸SPECT/CTの三次元定量指標と心機能指標の相関2021

    • 著者名/発表者名
      渡辺 悟
    • 学会等名
      日本核医学会

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公開日: 2022-12-28  

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