【具体的内容】 ①ピロリン酸シンチグラフィを用いたATTR心アミロイドーシスの診断・重症度評価において、集積体積に関連した三次元定量評価(cardiac pyrophosphate volume: CPV、cardiac pyrophosphate activity: CPA)が、従来の三次元定量評価(SUV関連評価)や二次元定量評価よりも精度が優れていることを示した。②集積体積を用いた診断精度は、ごく一部の例外を除き、ゴールデンスタンダード(心筋生検)と同等であることを示した。③集積体積は予後に関係する心機能指標(ECV、GLS、LVEFなど)と有意に相関すること、従来法よりも相関が強いことを示した。④ピロリン酸の注射後、1時間後も3時間も、集積体積を用いた評価精度が同等であることを示した。 【意義・重要性】 ①従来法で偽陰性・偽陽性と診断された患者を正しく診断できれば、治療方針が変わり、予後の改善が期待される。②ATTR心アミロイドーシスの診断のゴールデンスタンダードは心筋生検だが、心機能が低下した患者あるいは高齢の患者では危険である。ピロリン酸シンチグラフィにて低侵襲かつ高精度に診断できれば、患者のリスクを減らし、なおかつ早期診断につながる。同疾患の原因治療薬は早期ほど効果を発揮することが報告されており、予後の改善が期待される。③集積体積が「疾患の重症度のより精密な定量評価」や「治療効果判定」などに活用できることが期待される。新しい原因治療薬は非常に高価であり、より効果的な投与方法が分かれば、医療経済の面からも貢献度が高い。④日本ではピロリン酸投与3時間後に撮像することが多いが、1時間後の撮影にて検査が終了できれば、患者のQOLが向上する。病院滞在時間の短縮により、院内感染のリスクも低下するし、病院職員の負担も減る。また、検査効率が上がり、放射線技師のQOLも向上する。
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