研究課題
令和三年度に執筆中であった論文が、ヨーロッパの医学物理雑誌に採択された。この論文では、多発転移性脳腫瘍に対する放射線治療の実績線量分布をシミュレーションすることであった。転移性脳腫瘍に対する放射線治療では、かなり微小な病変も治療対象となる。本研究におけるシミュレーション結果の妥当性を示すためには、微小な領域の放射線測定の測定データを調べる必要がある。微小な領域における放射線測定技術はいまだに確立されていないことや、さまざまな検出器が開発されていることなどを考慮すると、放射線治療領域では解決すべき課題である。当施設では、すでに数多くの検出器を有していたために、微小領域の線量測定に取り組んだ。国際的に報告されている代表的な手法では、それを適用できる治療装置や放射線のエネルギーが限定されていた。この測定データがそろえば、適用できる検出器や放射線エネルギーが拡張できる可能性がある。現時点では、この内容に関する英語論文を執筆中である。当初、当該研究では体内臓器位置変動を伴う領域の実績線量分布を解析する予定であった。しかしながら、画像を作成するためのプログラム開発が予想以上に困難であったために頭部領域に変更していた。頭部領域においても実績線量分布に関する報告はなかったために、本研究は臨床的に非常に有意義であったと考える。一方、体内臓器位置変動を解析するためのプログラムは継続して改良に取り組んでおり、今後臨床データを評価していく予定である。
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Physica Medica
巻: 98 ページ: 45-52
10.1016/j.ejmp.2022.04.012