研究課題/領域番号 |
20K16727
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
河原 大輔 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (20630461)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 造影剤 / Computed Tomography / 被ばく線量 |
研究実績の概要 |
今年度は低エネルギーX線装置で造影剤が及ぼす線量増加の定量化を行うため、低エネルギーX線装置(X線撮影装置、CT装置)をモンテカルロコードPHITSを使用し仮想的にモデリングを行った。CT装置ではGE社のDual energy CT装置を対象としてモデリングを行った。モデリングにあたり実績での線量測定を行い、線量算出に必要なエネルギー吸収係数に関してDual energy CTの撮影で使用される2種類のエネルギーでの違いに関して検討し、論文として報告を行う予定である。実測とシミュレーションでは3%以内で一致したことを確認した。さらに、造影剤を使用した際の線量増加に関しては過去研究での測定結果を参照し、同様のシミュレーションを行い良好に一致したことを確認した。 次に、水中に造影剤が挿入された場合、挿入されない場合の仮想ファントムを作成しこれらの線量差を算出し、これを線量増加としデータ収集を行っている。研究計画では9通りのX線エネルギー(40-120kV)、20通りの造影剤の大きさ(1辺1- 20cmの立方体)、20通りの造影剤濃度(1- 20mg/ml)とし、合計14400通りの線量計算を行う予定であるが、現在までの3種類のエネルギー、20通りの造影剤濃度で計算を行っており、今後シミュレーションの高速化を図りながらデータ収集を引き続き行う予定ある。 また、低エネルギーX線装置による造影剤の線量増加による治療法の提案を目指すため、人体ファントムをCT撮影し、造影剤を仮想的に挿入可能な環境整備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
低エネルギーX線装置のモデリングのために行った線量測定に関してDual energy CTのエネルギー吸収係数に着目した解析を行い論文を作成しており、現在は投稿中で順調に成果を挙げている。 線量増加に関して、様々なファントム径、造影剤濃度などでデータ収集を行っているが、こちらはややデータ収集進捗が遅れているが今後は解析を行うコンピュータも増やしデータ収集速度を上げる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
X線エネルギー、造影剤濃度、造影領域の大きさの違いによる線量増加を計算し定量化を図る上で様々な条件下で造影剤の有無によるデータを収集しているが、今後は新たに解析用コンピュータを増やしデータ収集速度を上げる予定である。 上記と並行し、造影剤による線量増加を利用した低エネルギーX線治療法を検討するため、人体ファントムCT画像中に造影剤を挿入した場合と挿入しない場合での線量差に関してデータ収集を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は新型コロナウイルスの影響があり旅費の使用予定がなく、データ解析用コンピュータも1台の購入のみであった。 データ収集にやや遅れが生じていることもあり、次年度はデータ解析の速度改善のためにコンピュータを複数購入予定である。
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