研究課題/領域番号 |
20K16729
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
河窪 正照 九州大学, 医学研究院, 助教 (80608985)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | Heart anomaly / Cardiovascular MR / Cardiac dyssynchrony / Myocardial remodeling / Right ventricle / Medical image processing |
研究実績の概要 |
2020年度は、複雑心奇形の症例を収集しつつ画像解析を実施する計画であった。しかしながら、対象疾患の右心室の磁気共鳴画像は一般的な心疾患とは形態が大きく異なるため、これまでに研究代表者が開発してきた解析手法を改良する必要があると判断した。 磁気共鳴画像(MRI)解析は左心室の短軸像を主体として実施される。これは、左心室が短軸像のスライス面内の円周方向および放射方向に大きく収縮する特性があるからである。しかし、右心室は単軸方向よりもむしろ、短軸像に直行する長軸方向に大きく運動する特性を有している。研究代表者は右心室のこの特性に着目し、従来のMRIの単軸像を独自の手法で長軸像に再構成し、再構成画像を利用して磁気共鳴画像から右心室を特定する改良手法を提案した。この手法は、心エコー図、MRI、ならびにX線コンピュータ断層画像に用いられてきた心室領域の特定手法とは異なるものであり、かつ従来の医用画像解析の多くにそのまま適応できる可能性があるため、医用画像処理方法、医用画像処理装置および医用画像処理プログラム、として特許出願した(特願2020-181621)。 また、本研究は複雑心奇形に対する心臓再同期療法(CRT)の最適な実施時期を予測する画像診断指標の確立を目指すものであるが、CRTを実施した後の患者においても、CRTの再施行や他の治療法の検討には、MRIによる画像診断が有用であると考えられる。従来はCRTデバイスはMRI検査の禁忌であったが、近年ではMRI検査に対応可能なCRTデバイスが開発された。研究代表者らは、MRI対応型CRT埋め込み前後で心筋ストレインを解析し、本研究で応用を目指している心機能解析がCRTの治療効果をよく反映する指標であることを、Assessing myocardial circumferential strain using cardiovascular magnetic resonance after magnetic resonance-conditional cardiac resynchronization therapy、として専門誌に報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度は、複雑心奇形の症例を収集しつつ画像解析を実施する計画であった。しかしながら、対象疾患の右心室の磁気共鳴画像は一般的な心疾患とは形態が大きく異なるため、これまでに研究代表者が開発してきた解析手法を改良する必要があると判断した。しかしながら、今後の研究過程に活用で可能な改良手法を確立し特許出願することができたた。さらに、この技術を応用した人工知能による自動画像解析技術の開発も進んでいることから、画像解析の時間的コストが飛躍的に削減できる可能性が高い。したがって、研究は概ね予定どおりに進行していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は当初の予定どおり、複雑心奇形への適応のために改良した画像解析手法を用いて、画像解析を進める計画である。症例収集については、研究協力施設へ研究代表者が出向いて、施設のカルテシステムから取得することが望ましいが、COVID-19の感染状況を踏まえると不透明な点がある。画像データ取得の協力者を得るなどして、症例収集を進める計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は当初の予定どおり、複雑心奇形への適応のために改良した画像解析手法を用いて、画像解析を進める計画である。症例収集については、研究協力施設へ研究代表者が出向いて、施設のカルテシステムから取得することが望ましいが、COVID-19の感染状況を踏まえると不透明な点がある。画像データ取得の協力者を得るなどして、症例収集を進める計画である。
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