研究課題
2021年度末時点で専門誌の査読中であった、提案した右心室解析アルゴリズムの深層学習による自動化に関する論文が掲載された(MAGMA. 2022 Dec;35(6):911-921. doi: 10.1007/s10334-022-01017-3. Epub 2022 May 18.)。この論文成果により、磁気共鳴画像における複雑心奇形に適した心機能自動解析の精度を検証することができた。この論文では、左室短軸画像のUNet深層学習構造による右心室の自動領域抽出モデルに比して、我々が提案した右室放射長軸再構成画像から右心室を自動抽出するUNetモデルの方が、正確に右心室の容量や局所機能を定量できることを示すことができた。本成果を以て、先の研究期間内に開発した右室放射長軸再構成画像の右心室機能評価アルゴリズムに加えて、その自動解析モデルを提案することができた。次いで、これらの技術を用いて臨床施設のデータを解析する計画であった。しかし、研究協力施設をはじめ複数の施設から、アルゴリズムを用いた画像解析に関する共同研究の依頼があったため、多施設共同研究や製品化に向けた前向き研究への発展性を期待し、開発アルゴリズムを汎用ソフトウェアとしてパッケージ化した。また、本研究のアルゴリズムを活用して、高画質のPETによる心筋血流シンチグラフィによる心筋ストレイン解析にも副次的に取り組んだ。結論として本研究では、磁気共鳴画像の短軸動画像(シネMRI)を、自動的に右室放射長軸状に再構成して心機能解析を実施する汎用ソフトウェアを構築した。さらに、成人期の肺動脈弁置換術後のファロー四徴症に対する臨床的有用性を報告することができた。本研究は、複雑心奇形を含む成人先天性心疾患におけるCRTなどの治療介入の適正化や、病態解明のための解析研究の推進に資する成果であった。
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Magnetic Resonance Materials in Physics, Biology and Medicine
巻: 35 ページ: 911~921
10.1007/s10334-022-01017-3