研究課題/領域番号 |
20K16732
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
城寳 大輝 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 助手 (40848876)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | PSMA / F-18 / アスタチン211 / 前立腺癌 / ラジオセラノスティクス |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、前立腺特異的膜抗原 (PSMA)に強く集積する新規化合物を模索し合成し、その新規化合物を放射性同位元素18F、211Atで標識したときの活性や動態の差を検証し18Fと211Atのラジオセラノスティクスを目指すことにある。 2020年度はPSMAに強く集積する化合物の探索のため、PSMA認識部位となるLys-CO-Glu構造を保護アミノ酸からトリホスゲンを利用したウレア合成により合成した。当初はLys-CO-Glu構造をもつ化合物を購入していたが、購入品は塩酸塩であり反応性が悪くその後の反応の進行に影響を及ぼしたため、原料から合成することにした。また、放射性同位元素標識部位までのリンカー構造をアミノ酸の縮合反応により合成し、本研究で設計した化合物の合成を達成した。さらに、放射性同位元素標識部位を導入するため、メタ位にピナコールボラン、ジスルフィドを脱離基としてもつ安息香酸誘導体を合成した。 2021年度では、引き続きPSMAに強く集積する化合物の探索を行う。2020年度に合成した化合物に非放射性のFとIを導入し放射性同位元素標識化合物の標準品とし、PSMA高発現腫瘍細胞のLNCaP細胞とPSMA低発現腫瘍細胞のPC-3細胞に対する取り込み量をPSMAに集積する薬剤である [125I]MIP-1095との競合阻害実験により評価する。また、化合物のリンカー構造のアミノ酸を変更したものを合成し同様の方法で評価を行うことで、よりPSMAへの集積に優れた化合物を合成する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初設計したPSMA認識部位とリンカー部位及び放射性同位元素標識部位の合成を達成した。また、リンカー部位を変更した化合物の合成に取り掛かっており、おおむね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
合成した標準品の細胞への親和性の評価として、LNCaP細胞 (PSMA高発現腫瘍細胞)および PC-3細胞 (PSMA低発現腫瘍細胞)などに対する取り込み量を PSMAに集積する薬剤である [125I]MIP-1095との競合阻害実験により測定する。 標準品の PSMA発現腫瘍に対する親和性が低い場合は、芳香環がArene-binding siteとの疎水性相互作用に寄与できるようにリンカー構造の Lysのアミド結合する窒素の変更 (Lysの主鎖を変更)、アミノ酸の導入および S1 accessory siteとの疎水性相互作用の向上のため、プロリン4位に疎水性置換基の導入などの検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
細胞の購入を2020年度から2021年度にしたため
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