難治性であり、QOLの悪い転移性去勢抵抗性前立腺癌 (mCRPC)の患者において、前立腺特異的膜抗原 (PSMA)が優位に増加しており、診断および治療の標的となる。そこで本研究では、放射性核種18Fおよび211Atの化学的性質の違いによる体内動態への影響を評価した。PSMA発現腫瘍に特異的に集積する新規放射性薬剤 (BzGKP-PSMA)を開発する。本研究では3年間で(i)PSMA発現腫瘍と親和性を有する BzGKP-PSMAの合成、(ii)BzGKP-PSMAの18Fおよび211Atによる標識化の検討、(iii)18Fおよび211At標識 BzGKP-PSMAの細胞および小動物での同等性の評価により、18Fおよび211At標識 BzGKP-PSMAによるラジオセラノスティクスを目指す。 初年度は (i)で設計した18F (211At)-BzGKP-PSMAの標識合成前駆体であるNH-GKP-PSMAおよび B(pin)-Ph-COOt-Buと、ヨウ素体化合物であるI-BzGKP-PSMAの合成を達成した。次年度はB(pin)-Ph-COOt-Buの脱保護条件の検討とBzGKP-PSMAの効率的合成法の開発を行った。B(pin)-Ph-COOt-Buの脱保護条件の検討では、酸性条件での脱保護を検討していたが、B(pin)基が酸性条件に耐えられないことがわかった。また、BzGKP-PSMAを効率的に得るために合成法を液相法から固相法に変更した。最終年度では、前年度に成し遂げられなかったI-BzGKP-PSMAの収率の向上を達成した。また、B(pin)基が酸性条件に耐えられない問題は、標識前駆体をB(pin)-BzGKP-PSMA-Resinに変更し、211Atの標識化を行った後に脱保護することで克服できると考え、B(pin)-BzGKP-PSMA-Resinの合成を達成した。
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