研究課題/領域番号 |
20K16738
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研究機関 | 聖路加国際大学 |
研究代表者 |
堀内 沙矢 聖路加国際大学, 聖路加国際病院, 医員 (90867029)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 手関節MRI / TFCC / 三角線維軟骨複合体 |
研究実績の概要 |
令和2年度は、健常ボランティアを対象とし、手関節三角靭帯複合体(TFCC: triangular fibrocartilage complex)のMRI撮像を行い、至適撮像条件の検討と画質評価を行った。今年度の補助金は、研究遂行のための情報収集として、学会参加費にあてた。
TFCCは、手関節尺側にある軟部組織であり、手関節の運動と安定化に非常に重要な構造だが、複雑な小構造であるためにMRI撮像が非常に困難とされている。本研究ではMRIで靭帯、軟骨、骨すべてを同時に描出することで動態に基づいた構造解明や総合的な損傷診断が可能という考えのもと、[1]高分解能MRIによるTFCC形態と尺骨付着部の観察、[2]T2マッピングを用いた手関節軟骨損傷の定量、[3]ZTEによる尺骨形態解析の3つの方法で手関節MRI診断の臨床普及を示すことを目的としている。 [1]高分解能MRIによるTFCC形態と尺骨付着部の観察について、研究計画に基づいて、令和2年度は健常ボランティアを対象とし、高分解能MRIの2Dおよび3D撮像シークエンスを用いてTFCCを描出することにより、至適撮像条件を決定し、画質評価を行った。予備実験として撮像した手関節画像を含む論文は、Journal of Anatomy誌に掲載された。 [3]ZTEによる尺骨形態解析について、ZTEの尺骨至適撮像条件の検討に向けて、前十字靭帯再建術前後の患者を対象とした脛骨ZTE画像データの画質評価について検討し、その結果を国際MRI学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和2年度は、健常ボランティアを対象とし、手関節三角靭帯複合体(TFCC: triangular fibrocartilage complex)のMRI撮像を行い、至適撮像条件の検討と画質評価を行った。高分解能MRIの2Dおよび3D撮像シークエンスについての至適撮像条件の検討は計画通り遂行した。研究計画では手関節軟骨T2値の解剖学的分布の同定と、尺骨ZTE撮像の至適撮像条件の検討と画質評価を行う予定であったが、令和2年度10月より研究代表者の産前産後の休暇、育児休業の取得のため、これらの実施と学会発表、論文投稿については令和3年度以降に延期した。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度10月からの研究代表者の産前産後の休暇、育児休業の取得のため、研究計画の一部を変更した。令和2年度に予定していた健常ボランティアを用いた手関節軟骨T2マッピングおよび尺骨ZTE画像の至適撮像条件の検討と画質評価は令和3年度以降に行うこととした。続けて令和2―3年度に予定していた実際の患者でのMRI撮像と手術所見、CT画像との比較は令和3-5年度に、令和3-4年度に予定していたシークエンス導入による治療方針決定への介入効果分析と費用効果分析については令和5-6年度にそれぞれ行うこととした。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の産前産後の休暇、育児休業の取得により、2020年10月より研究を中断し研究期間を延長したため、次年度使用額が生じた。次年度使用額については、研究期間の延長に伴い使用期間のみ繰り延べ、2021年度11月から2022年度に使用する計画に変更した。使用内訳は変更しない予定である。
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