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2021 年度 実施状況報告書

深層学習による患者個別線量分布推定に基づいた自動放射線治療計画システムの構築

研究課題

研究課題/領域番号 20K16742
研究機関関西医科大学

研究代表者

小池 優平  関西医科大学, 医学部, 助教 (90866154)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード医学物理 / 高精度放射線治療 / 深層学習 / 人工知能 / 個別化治療 / 線量分布予測
研究実績の概要

本研究の目的は、深層学習を用いて患者個々の解剖学的情報に基づいて放射線治療における線量分布の推定を行うことで、高速かつ高精度な自動放射線治療計画法の開発することである。線量計算に時間の要する強度変調放射線治療の線量分布を深層学習により日々の体型の変化、臓器の位置変変化に対して迅速に対応可能な線量分布予測法を開発する。
初年度は解剖学的構造が比較的複雑ではない前立腺癌症例のデータの収集し、回転型強度変調放射線治療(VMAT)の再治療計画、および深層学習に用いるためのバイナリデータへの変換を行った。2021年度は前立腺癌のデータセットを用いて、パラメータの最適化を行うことで人工知能モデルの開発、予測線量の評価を行った。
学習モデルとしてU-Netベースのアーキテクチャを使用した。また当初はK分割交差検証を用いてモデルの精度検証予定であったが、画像を小区分に分割したパッチ画像を用いた学習として、Hold-out法による検証を行った。一般的に用いられる平均二乗誤差を損失関数として用いた訓練を行ったところ、真値との乖離が認められたため、入力した輪郭情報に基づく損失関数を新たに導入した。通常の平均二乗誤差で訓練したモデルと比較し、新たに提案した損失関数を加えたモデルで優位に線量予測精度の向上が認められた。また線量体積ヒストグラムにおいてもターゲット(腫瘍)および正常組織(直腸、膀胱、大腿骨頭)で真値と誤差が小さくなり、提案した損失関数で訓練したモデルでは臨床プランと同等の線量分布が得られることを明らかにした。ここまでの成果を論文として執筆し、現在投稿中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2021度は前年度に収集した前立腺癌のデータを用いて人工知能モデルの構築、ハイパーパラメータの最適化、予測精度の評価を行った。また解剖構造内の誤差に重みを加えることで、生成される線量分布の精度が向上することを明らかにした。提唱した損失関数の有用性に関する論文の執筆を行い、学術雑誌への投稿を行った。現在、並行して頭頸部癌症例の収集も行っている。

今後の研究の推進方策

次年度は前立腺癌症例でのモデル精度の向上および頭頸部癌症例におけるモデルの構築を行う。前立腺癌症例で構築したモデルでは、腫瘍と正常組織の位置関係が複雑な頭頸部領域では正常に線量分布を予測できないことが予想されるため、転移学習もしくはモデル改良の検討を行う。

次年度使用額が生じた理由

2020年度同様、新型感染症の影響で学会等への現地参加が制限されてしまったため、次年度使用額が生じた。本年度は学会に参加できる場合はその参加費および旅費や、投稿中の論文の掲載費等に使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Pseudo low-energy monochromatic imaging of head and neck cancers: Deep learning image reconstruction with dual-energy CT2022

    • 著者名/発表者名
      Yuhei Koike, Shingo Ohira, Yuri Teraoka, Ayako Matsumi, Yasuhiro Imai, Yuichi Akino, Masayoshi Miyazaki, Satoaki Nakamura, Koji Konishi, Noboru Tanigawa, Kazuhiko Ogawa
    • 雑誌名

      International Journal of Computer Assisted Radiology and Surgery

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1007/s11548-022-02627-x

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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