研究課題
タウPETイメージングはタウ蛋白病変の沈着を低侵襲で評価することが可能である。タウPETイメージングはタウ蛋白病変の正確な進展範囲の描出や沈着量の定量を通して、アルツハイマー病の重症度評価や早期発見に期待されている。タウPETイメージング薬剤は国内外で複数種類が開発されているが、画像作成条件を決定するための手法が整備されていない。そこで、本研究はタウPETイメージングの標準化へ向けて、タウPETイメージングの画像再構成条件を決定するためのファントムを開発することを目的とした。開発したタウPET専用ファントムは、タウ蛋白病変が最も早期に沈着する側頭葉内側部を模擬した脳部分と均一な円筒型部分を組み合わせている。均一な部分の内部に複数種類の内径の円柱も組み込み陽性・陰性像を作れる構造にした。PET装置で、タウPET専用ファントムを一度撮像するだけで、脳部分の画像から定量性(リカバリ係数)やコントラストを評価でき、均一な部分の画像から統計雑音(変動係数,%)や陽性・陰性分解能を評価することが可能である。タウPET専用ファントムは脳PET画像の画像再構成条件を決定するために従来使用されているホフマン3Dファントムよりも容易に作成することができ、ファントムに充填する放射能濃度の再現性も高かった。脳部分の解析用の関心領域を作成した結果、従来法と同様にリカバリ係数を評価することができ、タウPET専用ファントムの画像は先行研究と同等の定量性を担保していた。均一な部分の画像の統計雑音を評価した結果、全スライスに渡って統計雑音が評価でき、タウPETファントムの画像の統計雑音は10%以下であり良好な画質を有していた。今後、タウPET専用ファントム用いて、タウPETイメージングの画像再構成条件を決定する手法を考案し、このファントムを全国展開することでタウPETの標準化が可能になると考える。
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