研究課題/領域番号 |
20K16756
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
高瀬 裕樹 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (80866129)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 神経膠腫 / 計画者間差異 / auto-segmentation |
研究実績の概要 |
多段階領域拡張法が有用な可能性のある症例を考えるために、まず様々な部位で複数の計画者の設定した臨床腫瘍体積の一致度の検証を以下のような方法で行った。頭蓋内に複数の直径25mmの球状仮想グリオーマを設定し、20mmのマージンを付加した後にバリア構造を考慮して修正する手法で複数の計画者が設定した臨床腫瘍体積の一致度をkappa値で評価し、一致度が低くなるような部位の特定を試みた。頭蓋内のいずれの部位でもlappa値0.9以上の良好な一致度が得られたが、脳梁を介して対側の脳実質へ浸潤するような腫瘍においては、対側の脳実質内において評価者間で大きな差異が見られた。そのため脳梁を介して対側へ浸潤するような症例において、多段階領域拡張法が計画者間の差異を小さくする可能性がある。 上記内容を日本医学放射線学会第168回中部地方会にて報告を行った。
また多段階に領域を拡張する過程で、簡易にバリア構造を超えずに領域を拡張させるためのアルゴリズムを考案して、ワークフロー機能内で再現を行った。このアルゴリズムをより簡易に実行するために頭蓋内の特定構造を自動で抽出する機構を深層学習を用いて開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初想定した手法よりも高速で多段階領域拡張法を実行できるアルゴリズムの考案に至った。 また多段階領域拡張法が有益となりうる症例の特徴を特定することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
既治療の3D-CRT、既治療のCTVで作成したIMRT、多段階領域法で作成したIMRTを比較して多段階領域法の線量分布の特徴を明らかにし、多段階領域法のコストや予想されるメリットやリスクを検討し臨床に適応可能かどうかを明らかにする。 既治療例の腫瘍の再発・転移の有無を調べ、これまで調べた差異の部分と関連があるか明らかにする。また再発例に対して、多段階領域拡張法で何mm相当のマージンがあればその領域を含めることができたのか明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19流行により学会参加などの情報収集活動が行えなかった。 またCOVID-19流行による研究活動自粛で、出勤して物品を使用する領域は積極的に進めなかった。 2021年度の計画:多段階領域拡張法をより高速で行うためのオートセグメンテーションをより充実させるため、深層学習用コンピュータ及びその周辺機器を購入する。 また2020年度の研究内容を欧州放射線腫瘍学会2021(8月オンライン開催予定、内定あり)にて発表する。またその内容を論文として発表する。
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