研究課題/領域番号 |
20K16757
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐々木 誠 京都大学, 医学研究科, 技術職員 (60725604)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 強度変調回転放射線治療 / 膵臓癌 / 呼気息止め法 / 体内マーカ / 体外マーカ |
研究実績の概要 |
膵臓癌に対して放射線治療を行う場合、臓器の呼吸性移動が問題となる。本邦において、最も用いられている呼吸性移動対策は息止め法であるが、息止め時の膵臓癌の位置再現性と息止め中の膵臓癌の位置変動の把握が高精度な放射線治療を安全に施行するためには重要となる。現在、患者の腹壁に体外マーカを置き、患者の呼吸信号を可視化することによって、膵臓癌の動きの代用としている。一方、体内の動きを正確に捉えるためには金属マーカ等を体内マーカとして留置し、X線透視やCT画像で連続的に評価する必要があるが、留置による侵襲性やX線による被ばくの増加といった問題が生じる。したがって、膵臓癌内に留置された体内マーカの息止め時の位置再現性と治療中の位置変動を体外マーカのみの監視によって把握できるかという点を本研究の目的とした。 本研究では強度変調回転放射線治療を実施した膵臓癌患者13例を対象とした。解析を行うにあたり、まず、得られた呼吸信号から体外マーカの位置を決定し、さらに、X線透視画像から体内マーカの位置を抽出するプログラムを構築した。得られた両マーカの位置データを用いて、以下に示す項目の解析を行った。 1.のべ1235回の息止め時の位置再現性。2.治療中に得られたX線透視画像 (260015データセット)から、体内マーカを抽出するプログラムを構築し、体内マーカの位置変動。3.治療中の体外マーカと体内マーカの変動に伴う相関関係。 これらの解析結果をまとめ英文雑誌に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
体内マーカと体外マーカの息止め時の再現性と治療中の位置変動の解析は概ね完了し、英語雑誌に掲載された。息止め位置再現性において、両マーカの位置ずれが大きい症例が存在したため、体外マーカのみで膵臓癌の位置再現性を担保するためには、ある程度の補償領域の設定が必要と考え、新たに解析計画中である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究から、膵臓癌の動きを代用する体内マーカと体外マーカの関係性が明らかになった。しかしながら、体外マーカのみで膵臓癌の位置を推定できるほど相関関係が強いとは言えず、特に息止め時の位置再現性において両マーカの位置ずれが際立つ結果となった。このことより、膵臓癌の位置を体外マーカのみで表現するためには、ある程度の位置ずれを補償する領域の設定が必要と考えられる。したがって、息止め時に体外マーカ位置と膵臓癌の位置がミスマッチを起こした場合であっても、安全に放射線治療が実施できる補償領域の算出を進める。 また、実際に体外マーカのみを用いて放射線治療を行う場合には、事前に位置確認用のCTを撮影し、治療計画時の膵臓癌の位置と比較し、必要があれば位置の補正を加えた後に治療を実施する。この位置照合にばらつきが生じると、放射線治療の照射精度低下を招くことになる。したがって、外部マーカのみちよる放射線治療を施行するためには、位置確認者のばらつきを評価しておく必要があると考え、本年度はこちらの課題に関しても並行して解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
計上していた解析用ワークステーションについて、既存のものを利用したため次年度使用額が生じた。次年度以降には解析用ワークステーションおよび付属物品の購入を検討している。また、COVID-19の影響により国内および国際学会が中止もしくはWEB開催に移行したため、旅費の次年度使用額が生じた。次年度以降は、国内および国際学会へのWEB参加を行い、有効に活用する予定である.
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