研究課題
本研究では、心筋Static CTP撮影の最適化と新たな定量評価法(MPR)を開発し、虚血性心疾患診断における有用性を検証した。当院で虚血性心疾患が疑われ、心筋CTPおよびCAGを施行した20症例を対象とした。心筋CTPはノイズ除去フィルターと低線量撮影を併用したDynamic scanを行い、そのうち1時相のみ管電流を増加させる「Boost scan」を用いることで、Static CTPとDynamic CTPの両データを1度のCTP撮影で収集した。CAG(+FFR)では、20症例/60血管のうち36血管が有意狭窄と診断された。Static CTPでは視覚的な定性評価とMPRを用いた定量評価、及びそれらを統合した評価(定性+定量)を行った。また、Dynamic CTPではMBFを用いた定量評価を行った。ROC解析の結果、CAG(+FFR)における有意狭窄の検出において、Dynamic CTPの定量評価、Static CTPの定性評価、定量評価、及び統合評価ではそれぞれ、AUC: 0.77、0.69、0.73、0.80であり、Dynamic CTP(定量評価)とStatic CTP(定性/定量/統合評価)の間に有意差は認めなかった。一方、Static CTP評価において定性評価と統合評価の間ではAUCに有意差を認めた(p<0.05)。被ばくに関しては、Static scanではDynamic scanより有意に被ばくが低くなることが推定された(123.3±27.1 vs 480.9±83.9mGy・cm、p<0.05)。以上の結果より、心筋Static CTPは従来の定性評価に加え、MPRを用いた定量評価を併用することで診断能が向上し、Dynamic CTPより低被ばく、かつ同等の精度で虚血性心疾患の評価ができる可能性が示唆された。
すべて 2023
すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)