研究実績の概要 |
本研究では、3D遅延造影撮像に最新の高速撮像技術であるCompressed Sensing (CS)を併用(CS 3D LGE)した際の撮像時間短縮効果や画質、遅延造影の診断能を検証した。 CS 3D LGEに関して自由呼吸下で最適画質を得られるパラメータを構築、従来の2D画像と遅延造影の分布やボリュームを比較検討した。対象は当院で虚血性もしくは非虚血性心疾患を疑われた連続91症例で、従来通り2D LGEを撮影した後にCS 3D LGEを追加撮影し、撮像時間、Image quality、遅延造影領域のボリュームに関して各々比較した。Image quality は4段階にスコア化し、遅延造影領域のボリュームは左室心筋全体の重量に対する造影増強された心筋重量の割合と定義した。 撮像時間は両者に有意差は認められなかった(CS 3D LGE:388±114 s; 2D LGE:411±130 s, p=0.391)。Image quality は、有意にCS 3D LGEの方が低くなったが(CS 3D LGE:3.1±0.7; 2D LGE:3.5±0.6, p<0.001)、両者の平均スコアはともに診断に影響を与えないと思われる3点以上であった。遅延造影領域のボリュームは両者に有意な差は認められず(CS 3D LGE:19.2±16.2 %; 2D LGE:18.0±14.2 %, p=0.473)、良好な正の相関が認められた(R2=0.72)。 以上の結果より、CSを用いた3D LGEは診断に十分評価可能な画質を維持したまま、従来の2D LGEと比較して同等の遅延造影の診断能を有することが示唆された。本研究では検査時間の有意な短縮は得られなかったが、息止めなしの自由呼吸下で従来と同等の遅延造影画像を得られることは患者負担の軽減という点で大きなメリットになると思われる。
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