研究課題/領域番号 |
20K16762
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
土屋 奈々絵 琉球大学, 病院, 講師 (70647354)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | バッドキアリ / 4D flow / MRI |
研究実績の概要 |
本研究は,バッド・キアリ症候群の新たなイメージングバイオマーカーを見つけることを目指したプレリミナリ研究であり, 4D Flow MRIを利用して,バッド・キアリ症候群の複雑な血流異常の新たな視覚的・定量的な解析法を開発する。本年度はこれまでの蓄積症例の分析を進めた。目的は4Dflow MRIがバッドキアリ症候群の評価に有用であるか検討するため、患者の下大静脈、肝静脈、門脈、側副血行路の血流を4D flow MRIで視認できるかVENCごとの変化に注目して調査することである。2021年までに4DflowMRI撮影を行ったバッドキアリ症候群患者6例(男性4例、女性2例)に関して臨床情報と画像評価を行った。4D flow MRI画像(24回9セット)で下大静脈(狭窄部、狭窄部の近位と遠位)、肝静脈、門脈、側副血行路の視認性を良好、可、不良の3段階で評価した。血流描出の頻度、また高いVENC(50 ~100cm/s)、低いVENC(15~30cm/s)での描出の変化を調査した。9セットのMRI画像のうち下大静脈は4セット、右肝静脈4セット、中・左肝静脈は7セットで閉塞しており、血流は描出されなかった。閉塞がなければ下大静脈の狭窄部、肝静脈、門脈、側副血行路は全ての画像で血流が描出された。下大静脈近位1セット、遠位3セットで血流描出が不良であった。下大静脈狭窄部および狭窄近位ではVENCが高いほうが、肝静脈・門脈・側副血行路はVENCの低いほうが描出良好という傾向があった。結論としてバッドキアリ症候群の血流は4D flow MRIで描出できることが示された。VENCの違いで視認性が異なり、下大静脈狭窄部は高いVENCで、肝静脈、門脈、側副血行路は低いVENCで描出良好となる傾向があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
原発性バッドキアリ症候群は稀な疾患であり,バッドキアリ症候群の手術経験の多い琉球大学には全国からの紹介症例が集まってくる。しかし,昨年度と同様に本年度も新型コロナウイルス感染症の影響で,県外からの紹介患者が来沖することができず,症例蓄積が進んでいない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに蓄積されたバッドキアリ患者および健常者の4D flow MRIの画像解析を進める。肝動脈・門脈・肝静脈・下大静脈や側副路の血流定量評価をflow 解析ソフトを使用して行い,最適なVENCの模索、術前後での血流方向の変化などの調査を進める。コロナウイルス感染の収束は見込めないため、バッドキアリ患者の症例蓄積は思うように進まないと予測されるが、県内の経過フォロー患者の症例を蓄積し、調査を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で研究の症例蓄積が進まず、研究に遅れが生じたため、研究費の次年度使用額が生じた。また学会や会議への参加も感染拡大のため断念したため、旅費が計上できず次年度使用額が生じた。次年度では、参加予定であった学会への参加が実現する見込みであり、成果の発表および学会参加費・旅費として研究費を計上する計画である。
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