研究課題
国際放射線単位測定委員会(ICRU)の勧告をもとに肺、脳、脂肪、心筋、脊髄等価なポリマーゲル線量計を作製した。肺はマイクロスフェアを使用して密度0.2、0.26、0.3g・cm-2に調整して作製した。脳、脂肪、心筋、脊髄については、マイクロスフェアやリン酸カルシウムで密度を1.4、1.5、1.6g・cm-2とし、グリセロール、ウレタンで人体同様の組成を有する組織等価ポリマーゲル線量計を作製した。 フルモンテカルロシミュレーションシステムを用いて加速器ヘッド(ELEKTA Synergy)をシ ミュレーションし、位相空間データを取得した。組織等価線量計による線量計測;組織等価ポリマーゲル線量計で形状を模した人体ファントムを作製し、リニアックELEKTA Synergyを用い、事前に計画された寡分割(固定多門および回転)強度変調放射線治療の照射において線量計測を行った。また、フルモンテカルロシミュレーションシステムによる線量計算は、計測と同様の配置で撮影 されたCT画像から組織等価線量の詳細な計算を行った。正常組織障害発生確率の算出には組織吸収線量を用いて、正常組織障害発生確率(NTCP)をL-K-B modelで算出した。それぞれの組織における組織等価ポリマーゲル線量計を作製し、その形状が肺胞や骨梁に近似していることを顕微鏡画像から明らかにし、呼吸による密度変化を再現できた。骨に関しても同様に皮質骨・海綿骨の形態を再現できた。ポリマーゲル線量計による線量計測では、それぞれ組織吸収線量をMRI画像から得られたR2値によって算出したところ、モンテカルロシミュレーションと最大で5.2%の線量差がみられた。これらから実験的に肺のNTCPを算出した。しかしながら、組織等価ポリマーゲル線量計とモンテカルロシミュレーションの線量差がNTCP算出に影響し、組織等価ポリマーゲル線量計による正確な線量算出方法の模索が必要であることが示唆された。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件)
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