研究課題/領域番号 |
20K16767
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研究機関 | 鈴鹿医療科学大学 |
研究代表者 |
荒井 信行 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 助教 (60834885)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 脳内クリアランス / MRI / 緩和時間 / 酸素分子 |
研究実績の概要 |
Glymphatic systemを見据えた脳内クリアランスの機序を捉えるために,組織の緩和時間を変化させる酸素分子をトレーサーとして,髄液や脳実質のT1の経時的変化をMRIで定量的に画像化,数値化する.そのために,臨床用MRI装置と既存設備で簡便に投与可能な酸素を用いることを想定し,酸素分子による組織のT1の変化を鋭敏に捉える必要がある. 本研究で酸素分子の運搬媒体として仮説を立てているのは,血液と脳脊髄液である.これらは生体を構成する組織の中でも特に緩和時間が長く,従来の短時間で簡便なT1測定法では正確に測定することが困難であった. 本研究では酸素分子によるわずかなT1の変化を捉える必要があるため,長い緩和時間の組織でその変化を正確に測定できているか模擬ファントムを使用して検証を行った.T1を測定する手法で最も正確に測定することができる反転回復法を基準法としたが,この手法は計測時間が非常に長く,生体への適応は非現実的である.そこで今回,反転パルスを複数個用いた反転回復法の変法を適用し,その設定パラメータを調整することで,長い緩和時間の組織とその他生体組織の両者を対象としたT1測定を可能にした.さらに同手法は短時間でデータを取得することができ,生体にも十分適用可能であるため,髄液やリンパ系の流動経路の解明の足掛かりにすることができる可能性がある.基準にした反転回復法と比較しても,長い緩和時間の組織とその他生体組織の両者ともに同等のT1を取得することができた. 検証データ,取得結果をまとめ,今後学術論文を執筆し発信する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
提唱手法のT1計測において,緩和時間が短い領域の測定精度に加えて,比較的正確な測定が困難とされる緩和時間の長い領域の測定精度の検証を模擬ファントムを用いて行った.これにより,生体内に混在する緩和時間が短い組織と長い組織の両者の正確なT1計測を一度の撮影で行うことができ,酸素吸入によるわずかなT1の差を鋭敏に捉えることができる可能性が示唆された.検証データや取得結果をまとめ,生体への適応について計画中であるが,昨今のコロナ禍による影響で被験者の募集や臨床MRI装置の使用などが制限されているのが現状である.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は,引き続き提唱手法のT1計測の不変性を実証していく.そのうえ3次元T1強調画像も取得し脳形態統計解析を応用していく予定である.2022年度は,提唱手法の精度の担保を見据え,すでに報告があるMRIにおけるT2強調を用いた血液ラベリングの一手法を併用して評価していく予定である.2022年度から2023年度にかけて,in vivoによるデータ収集と解析を遂行する予定である.解析結果により新しい知見が得られる都度,学会発表や論文執筆を通して研究成果を発信し医療分野に還元していく.
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次年度使用額が生じた理由 |
昨今のコロナ禍により,被験者によるin vivoデータの取得を行うことができず,謝金が一切発生しなかった.また,当初想定していた学会発表による学術発信を行うことができず,学会参加登録費や旅費,その他諸経費が一切発生しなかった.
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