研究課題/領域番号 |
20K16779
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研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
佐藤 洋造 公益財団法人がん研究会, 有明病院 超音波診断・IVR部, 副部長 (40522694)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 肝動脈化学塞栓療法 / MRI / 肝細胞特異性造影剤 / テクスチャー解析 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、切除不能肝細胞癌に対する肝動脈化学塞栓療法(trans-arterial chemoembolization: TACE)による肝機能低下をMRI画像のテクスチャー解析を用いて評価・予知し、肝機能低下をきたす前に分子標的薬への治療変更を可能にすることである。 近年肝細胞癌の全身薬物療法の進歩は著しいが、いずれの分子標的薬もChild-Pugh class Aの肝機能が良好な症例への使用が推奨されている。最近ではTACEを繰り返すことにより、Child-Pugh class Aを逸脱するような肝機能の悪化をきたし、次治療である分子標的薬への移行が困難となる可能性が指摘され、至適タイミングでの治療変更を可能にするために肝機能低下を早期検出・予測し得る指標が望まれている。 研究代表者らは、肝細胞特異性MRI造影剤(EOB)の肝細胞相における肝の造影率を算出することにより、肝機能をRLE値(relative liver enhancement ratio)として検出し、肝機能イメージングとして有用な肝細胞特異性造影剤の造影率イメージング(RLEI)を開発した。RLEIは肝細胞の存在および分散に基づいた信号強度を呈する定量的な肝機能画像である。RLEIをテクスチャー解析することにより、肝機能および肝機能の不均一性を早期評価・予知し、至適タイミングでの分子標的薬への治療変更が可能になると考えられる。 現在、肝細胞癌に対して肝動脈塞栓療法を施行した症例の、データの解析準備と症例集積を行っている。また最近Child-Pugh分類だけでなく、より簡便に算出できるALBI分類(アルブミン値と総ビリルビン値のみで算出)がさらに治療効果や予後と相関するという報告があり、ALBI分類も検討対象に入れる事とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
治療前およびTACE施行1ヶ月後と3か月後のMRI検査時に、肝細胞の存在および分散に基づいたRLEIをテクスチャー解析し、肝細胞の不均一性と肝機能との相関を明らかにすることにより肝機能を評価する。 肝腫瘍評価目的でEOB-MRIを撮像した46症例でRLE値を計測し、Child-Pugh分類、前述のALBI分類との相関を検討し、ともに有意な相関が得られることが示された。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、肝細胞癌患者の肝動脈塞栓療法施行症例のデータを集積し、適宜適切な肝機能評価が可能かをテクスチャー解析を用いて解析する。必要な物品などがあれば、適宜追加する。 今後ある程度のデータが集積された時点で、学会発表なども検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19による感染症の蔓延に伴い、現地での学会発表・参加が出来なかったため、それらに必要な旅費が算定されていない。
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