研究課題/領域番号 |
20K16780
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
倉田 靖桐 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (40836178)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 子宮体癌 / 子宮頸癌 / MRI / 深層学習 / セグメンテーション |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、産婦人科領域の MRIにおいて、深層学習を用いて病変検出から診断まで全過程の自動化を実現することである。 初年度はU-netと呼ばれる細胞の自動認識用に開発されたconvolutional neural network (CNN)を用いたプログラムを改変したモデルを用いて、MRI上で子宮体癌の高精度の自動セグメンテーション(Dice similarity coefficient=0.806)を実現した。セグメンテーション精度は複数シークエスのMRI画像を用いることで向上することがわかった。また、自動抽出された子宮体癌の画像的特徴量は、手動で抽出した腫瘍の特徴量と高い相関を示した。これは、子宮体癌のテクスチャ解析に際して、腫瘍の関心領域設定という手動では労力が大きく、主観的になりがちな作業の自動化の可能性を示した結果である。この成果を国際学会 (International Society for Magnetic Resonance in Medicine)に投稿して採択され、口演発表予定である。また、同内容に加えて、セグメンテーションモデルの精度を高める工夫について議論した論文を現在英文誌に投稿中である。 続いて、子宮体癌の画像データから腫瘍の病期診断(筋層浸潤の程度、リンパ節転移の有無)や予後を予測するプログラム作成に着手し、現在はモデルの構造やハイパーパラメータ調整を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
子宮体癌のセグメンテーションモデルのハイパーパラメータ調整に予定より時間を要した。ある程度のセグメンテーション精度はパラメータ調整を開始して比較的すぐに達成できたが、セグメンテーション精度はこの後に予定している、自動病期診断や予後予測に大きく影響すると予想されるため、可能な限り精度を高める必要があった。実験を通じてバッチサイズがセグメンテーション精度に大きく影響することを見出し、最終的にはテストセットで既報を上回る精度を達成できたが、腫瘍の関心領域を用いた病期診断まで到達することはできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
現在は子宮体癌の関心領域の画像データを入力データとして、深部筋層浸潤の有無を予測できるか調べている。今回の手法では3次元的な腫瘍の関心領域を得ることができるため、3D CNNの基本的なモデルを用いて予測精度を高めるパラメータ調整を試みている。ある程度の精度が達成できれば、腫瘍セグメンテーションに用いた症例以外の症例を追加して入力データ数を増やす予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
社会状況により学会参加が難しく旅費として計上した部分に余剰が生じた。次年度はweb開催の国際学会参加が決定しており、この参加費や、オープンアクセスを予定している論文投稿日として使用する予定である。
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