| 研究課題/領域番号 |
20K16782
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| 研究機関 | 弘前大学 |
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研究代表者 |
寺島 真悟 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (00583733)
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| 研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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| キーワード | コホート効果 / 非標的効果 / 放射線治療 |
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| 研究実績の概要 |
本申請課題では、不均一な線量を照射された細胞モデルを作成し、放射線治療における放射線誘発コホート効果による細胞間相互作用の影響を評価する。コホート効果とは、放射線を照射された隣接細胞どうしの細胞間相互作用により、細胞生存率などに影響を及ぼす現象である。高精度放射線治療では、腫瘍に線量を限局させ空間的に非常に急激な線量変化が起こるが、放射線生物学的側面からそのような影響の検討はされていない。本研究の完成は、放射線生物学的観点から線量評価をアシストすることが期待でき、また腫瘍辺縁からのがんの再発といった問題の解消にも貢献できると考えている。
令和3年度は、令和2年度に引き続き液性因子を主とする細胞間相互作用の働きを明らかにするため、多孔性の培養容器 (インサート)を使用して不均質な線量を照射された細胞モデルを作成し実験を行った。細胞は、ヒト口腔扁平上皮癌細胞SAS及びヒト肺癌細胞A549を用いた。解析を行うウェルプレートには2 Gyを照射し、インサートには基準線量の0、20、80、100% (0、 0.4、1.6、2.0 Gy)を照射した。評価は、細胞数のカウントによる細胞生存率の評価(modified high density survival assay)を用いてSAS及びA549において、インサート線量が増加すると、生存率が上昇するような傾向が観察された。SASにおいてはインサート線量の増加に伴い、統計的に有意な生存率の上昇が観察された。一方、4 Gyを基準線量とした令和2年度の実験と比較して、2 Gy生存率の上昇の割合が4 Gyより低く、液性因子による細胞間相互作用の影響は線量に依存性があることが示唆された。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和3年度は、新型コロナウイルスによる大学の規定により、申請者本人及び同居家族の体調による出社制限などの影響で、実験が制限されたこともあり、研究全体の進捗が遅れた。また、異種性の細胞群を解析する際に利用される蛍光プローブである試薬を用いて、照射前に細胞をマーキングし、別々に異なる線量を照射し共培養(物理的な接触を阻害しない共培養)し、細胞への影響を評価する予定だった。しかし、細胞のマーキング用の試薬の細胞内での半減期が短く、十分な評価が行えなかった。現在は、他の細胞のマーキング用の試薬を用いて実験に取り掛かっている。
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| 今後の研究の推進方策 |
令和4年度は、不均一照射に対する物理的な接触を阻害しない共培養での細胞生存率の評価及び、不均一照射に対する放射線誘発コホート効果の作用機序の解明を目的として研究を行う。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響により、大学規定の申請者本人の体調及び同居家族の体調による出社制限などの影響で、実験が制限されたこともあり、実験の進捗が遅れた。また、新型コロナウイルスの影響により、学会の現地参加をせずオンライン参加を行った。そのため出張旅費をほとんど使用せず、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、令和3年度で進捗が遅れた分の消耗品と、令和4年度で実験予定だった消耗品としての経費として使用する。
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