研究課題/領域番号 |
20K16786
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
菅 博人 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 助教 (80789305)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 定量的磁化率画像 / MR単独放射線治療計画 |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き,前立腺の定量的磁化率画像の画質安定化を図るために検討を続けた.定量的磁化率画像解析の前処理で必要なマスク作成および各エコー時間の画像合成方法の検討を行った.これまで定量的磁化率画像の解析において,すべてのエコー時間の画像で同じマスクを使用し,また画像合成の際にはエコー時間に対して位相値が線形であるという前提のもと計算を行っていた.しかし,背景磁場が強い空気と身体の境界付近ではその前提は成り立たない.そこでエコー時間ごとにマスクを作成して,位相展開処理を行った後に画像を加算平均する手法を開発した.ディジタルファントムを使った評価において,提案手法は従来法に比べて解析領域全域で磁化率値の安定化が確認でき,また課題であったマスクの端に生じる磁化率値の過大/過小評価の程度を小さくすることができた.さらにファントム内に配置した関心領域内の平均磁化率値は変化がなかった.ボランティア実験では提案手法に用いた場合,全域で標準偏差が小さくなり,同様の傾向がみられることを確認した.以上より,従来法よりも定量的磁化率画像のアーチファクトの低下や計算誤差の低減できるマスク作成,各エコー時間の画像の合成法は今後の定量的磁化率画像の処理において有用であることが分かった.現在,その成果は論文投稿中である.一方,前立腺の定量的磁化率画像で問題となる直腸付近から生じるアーチファクトは今年度開発した手法のみでは改善は見られたものの不十分であった.そのため引き続き画像解析手法の開発を行い,放射線治療計画に利用できる質の高い手法を考案する必要がある.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度は前立腺の定量的磁化率画像の直腸付近から発生するアーチファクトを低減するためにマスク作成と各エコー時間の画像の合成方法の検討を行った.しかしアーチファクトを低減することはできたが,放射線治療に使用するためにアーチファクトの低減がいまだ不十分であり,さらなる改良が必要であるため.
|
今後の研究の推進方策 |
令和5年度は前立腺の定量的磁化率画像のさらなる画質改善を行うために画像解析手法の開発,最適化によってアーチファクトを十分に抑制できるか検討し,成果が出次第,論文にて成果を報告する.
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗が遅れており,論文の英文校正費や投稿費を使用しなかったため.
|