研究実績の概要 |
大動脈解離の患者さんの4D flow MRI撮影を行い、症例を蓄積した。非造影の4D flow MRIでも真腔や偽腔の血流計測ができており、計測結果も妥当であると考えられる。エントリーが大きく偽腔血流が多く残存しており、CTを用いた形態学的な評価では瘤化リスクが高いと考えられる症例でも4D flow MRIを用いてエントリーから出入りする血流を計測すると偽腔から真腔への逆流血流は少なく、目立った瘤化が認められない症例も経験した。 偽腔開存型大動脈解離の症例が想定以上に少なく十分な症例が集められていないが、これまで蓄積した撮影ノウハウを生かして、Stanford A型大動脈解離術後の患者様の術後の大動脈狭窄に対して4D flow MRI撮影を行い、血流評価を行った。この症例に関しては当グループから症例報告を行った(共著 Kato H, Higashigawa T, et al. Vascular and Endovascular Surgery 2024, Vol. 58(4) 457-460)。 本研究では慢性期の大動脈解離を対象としているが、発症時期不明の大動脈解離も存在するため、急性期~亜急性期の大動脈解離と慢性期の大動脈解離がFDG-PET/CTを用いることで区別可能であることを報告した(Higashigawa T, et al Nucl Med Commun. 2022 Jul 1;43(7):794-799.)。 また、大動脈解離の症例を含んだ患者集団を対象に、dual-energy CTを用いたステントグラフト治療後のエンドリーク評価を行い、2024年3月の欧州放射線学会で口演発表を行った。 偽腔開存型の症例でMRIを撮影できた患者様が依然として少ないため、研究期間を延長して2024年度も引き続き新規症例の撮影に取り組む予定である。
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