小児の脳腫瘍の画像的診断は、経験豊富な神経放射線科医にとっても困難であるため、multiparametric MRIを用いて、小児悪性度の術前評価を行い、各種パラメータを比較し、最良の悪性度予測因子を見つけることを研究目的とした。本研究には、19名の小児患者 (男児11名、女児8名;中央値年齢4歳、範囲1-17歳) が参加し、拡散強調画像、arterial spin labelingによる灌流画像、amide protein transfer (APT) によるタンパク、アミド強調画像、腫瘍内不均一性関連パラメータを含むmultiparametric MRIを評価した。各腫瘍のT2延長領域の最大断面に関心領域を置いて、前述の8つのパラメータを測定・分析した。高悪性度・低悪性度の腫瘍の2群についてヒストグラム解析を使用して、各パラメータのパーセンタイル、平均値、歪度、尖度をマン・ホイットニーU検定で、比較した。また、Receiver Operating Characteristic分析を用いて各パラメータの診断能を評価した。その結果、拡散パラメータは、高悪性度腫瘍で低値を示し、灌流パラメータは、高悪性度腫瘍で高値を示した。腫瘍不均一性パラメータは、高悪性度腫瘍で低値を示し、歪度と尖度のαが最も優れた診断能を示した (AUC:1.00)。これらの結果から、腫瘍不均一性パラメータ αは小児脳内腫瘍の悪性度評価に有用なツールであると示唆され、術前のMRIの撮像シーケンスの優先順位決定や悪性度評価に役立つと期待された。
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