研究課題/領域番号 |
20K16800
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
佐藤 健司 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (80773788)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | IVR / 肝動脈化学塞栓術 / 肝細胞癌 / 分子標的薬 / レンバチニブ |
研究実績の概要 |
肝細胞癌に対する肝動脈化学塞栓療法(TACE)は代表的なInterventional Radiology (IVR)治療法の一つであり、標準治療として以前から広く行われている。また近年、新規Tyrosine kinase inhibitor (TKI) であるレンバチニブが承認され、これまでの分子標的薬と異なり高い奏効率を示すことから肝細胞癌に対する標準治療として注目を集めている。申請者はこれまで、薬剤溶出性ビーズへの抗癌剤の含浸に関する基礎研究を行ってきた。抗癌剤含浸ビーズを用いたDrug-eluting beads-TACE (DEB-TACE) は、ビーズの徐放性により腫瘍内の抗癌剤濃度を高めることができ、現在も臨床で広く行われている。レンバチニブを薬剤溶出性ビーズに含浸させ、肝細胞癌に効率良く投与できれば、さらなる強い抗腫瘍効果が期待できる。本研究では、in vitroでレンバチニブの薬剤溶出性ビーズへの含浸の程度および溶出速度を、in vivoでレンバチニブ含浸ビーズの薬物動態と抗腫瘍効果を評価する。 in vitro実験において、薬剤出性ビーズであるヘパスフィアへの薬剤含侵量はさほど多くないため、抗腫瘍効果を得るために必要な薬剤溶出量が得られない可能性がある。よって、特殊なハイドロゲルを用いて、レンバチニブを肝腫瘍モデルの肝腫瘍組織に経動脈的に投与する方法を開発中である。 in vivo実験において、ラット肝腫瘍モデルに対してカテーテル治療を行い、マイクロカテーテルをラットの細い肝動脈に挿入する手技の精度向上に努めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID-19の急速拡大の影響で、in vitro実験のシステム構築や人員の確保が予定通りに進まず、進捗状況は予定より遅れている。in vivo実験においては、ラット肝腫瘍モデルに対して肝動脈化学塞栓術(TACE)を行い、マイクロカテーテルをラットの細い肝動脈に挿入する手技の精度向上に努めている。
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今後の研究の推進方策 |
in vitro実験において、レンバチニブを薬剤出性ビーズであるヘパスフィアに含浸させて薬剤溶出性ビーズを作成する方法以外に、特殊なハイドロゲルを用いて、レンバチニブを肝腫瘍モデルの肝腫瘍組織に経動脈的に投与する方法を開発中である。また、このハイドロゲルを用いて生体外で微小な塞栓物質を作成し、動物モデルに対する微小血管塞栓物質として用いることも検討中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19急速拡大の影響で当該年度に予定されていたin vitro, in vivo実験が予定通りに進まず、次年度に実験を行う予定となったため。 分子標的薬であるレンバチニブや、ラット肝細胞癌モデル作成のためのラットや肝細胞癌株を購入予定である。
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