研究課題/領域番号 |
20K16807
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研究機関 | 公益財団法人実験動物中央研究所 |
研究代表者 |
吉丸 大輔 公益財団法人実験動物中央研究所, ライブイメージングセンター, 研究員 (10795199)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 高磁場MRI / マウスMRI / 拡散強調画像 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、肝臓そのものがヒトの肝臓に取って代わるヒト化肝臓マウスを用いた、人に近い肝臓機能や疾患の評価することである。具体的には高磁場MRIを始めとした、イメージングデバイスにより、 臨床では時間的制限や装置性能から得ることが難しい、分子レベルの高分解能マイクロイメージングにより、細胞変性や浸潤、脂肪酸やグリコーゲンの代謝や分布、トランスポーターを介したビリルビンの排泄機能などを、 実際に肝組織を染色した標本と比較し、イメージングバイオマーカーを確立することである。 初年度である2020年度は、健常マウスを用いて、MRI及びCTにおける撮像条件の検討を行った。具体的には、高磁場MRIにおいて、T1強調画像、T2強調画像、拡散強調画像、Magnetic resonance Spectroscopy(MRS)の画像について検討を行った。MRIは時間分解能が良く無いため、呼吸など制御したシークエンスを構築した。得られた画像からは動きによる画像エラーも少なく、さらに画像解析にて拡散情報から得られる複数のインデックスの算出も可能となった。MRSにおいては、もっとも重要となる信号雑音比との関係から、撮像の関心領域の大きさや位置などの調整を行い、さらに水抑制法による評価や適正な信号を取得するためのパラメータ設定を行った。解析に関しても、肝臓用ベースラインの取得、確認を行った。 さらに小動物用高分解能CTにおいて、撮像プロトコールの検討、また管電圧・管電流などを変化させた撮像条件を構築した。ヨード造影剤を用いた撮像に関しても、適した条件の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID-19蔓延による実験の中止などがあったが、初年度実施予定としていた健常マウスを用いたMRI及びCTにおける撮像条件の検討に関しては、概ね完了した。MRIの造影剤であるGd造影剤を用いたGd Contrast Enhanced MRIは検討を行っていない。しかしGd Contrast Enhanced MRIの撮像時に用いるT1強調画像は、すでに条件設定が行えている為、2021年度に計画している撮像、評価に関して支障は無いと考えている。現在、評価のために想定しているマルチモーダルなイメージングに関しては、概ね準備はできているものと考える。そのため区分を概ね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策としては、初年度である2020年度に確立した撮像シークエンス、またプロトコールを用いて、ヒト化肝臓マウスに対して撮像を行う。その際、ヒト化肝臓マウスに対して撮像条件に微調整が必要であれば変更を行う。撮像データの解析を行い、ヒト化肝臓マウスと健常マウスとの比較を行う。さらにヒト化肝臓マウスの肝臓内における、ヒト肝臓とマウス肝臓の変化の違いの評価を行う。その結果、ヒト化肝臓マウス内ヒト肝臓と実際のヒトの肝臓との相同性を調査する。それらヒト化肝臓マウスに対するイメージングにおいて基本的な評価が終了し次第、肝臓癌モデルなどの肝疾患モデルへも同様に評価を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響により、国内・国外での学会が中止になった為、計上していた学会参加のための費用分がマイナスとなった。次年度使用となった分に関しては、実験時のマウス保定具などの、安定したデータを取るための実験器具などへ使用する計画である。
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