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2020 年度 実施状況報告書

不均質材料によるブラッグピーク拡大装置の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K16808
研究機関国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構

研究代表者

阿部 康志  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 物理工学部, 研究員(任常) (10755531)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード粒子線治療 / リップルフィルター / 不均質材
研究実績の概要

本研究の目的は重粒子線によるがん治療において、炭素線だけでなく、酸素線や窒素線といった他の粒子線を組み合わせた治療法であるマルチイオンの実現に向けて、新たなブラッグピーク拡大装置を開発することである。
当該年度は従来のブラッグピーク拡大装置であるリッジフィルターに置き換えることのできる物質について検証を行った。研究における代替となる物質の候補としては治療時の固定具等に使用されている不均質材である。一般的に入手可能な不均質材について実際に照射実験を行い、粒子線治療に利用可能なビームの分布が得られるかどうかについて評価した。実験では炭素線だけではなく、リッジフィルターでは散乱の効果が大きく影響するネオン線についても行い、利用が想定される粒子線について行った。その結果、肺のファントムとして販売されている材料において比較的良い結果を得ることができた。さらに厚さをいくつか変更し、同様の照射実験を行い、得られた分布から治療に最適な厚さを決定した。
このフィルターを実際の治療に用いるためには各粒子線、各エネルギーに対しての基礎的なデータを取得する必要がある。当該年度は選定したフィルターに対して上記のデータ取得も開始した。治療を実施するにあたって必要なデータ取得を今後も進めていく予定である。また今回の研究で選定しているフィルターを実際の粒子線治療に用いることができれば、コスト面において、現在のフィルターと比較すると10分の1程度の価格に抑えることができるため、ランニングコストの観点からも早い段階で運用可能となることが期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は炭素線以外の粒子線にも適用可能なブラッグピーク拡大装置を開発することが目的であった。今年度、マルチイオン治療に使用可能な新たなフィルターの材質の選定に成功し、データ取得を進めている段階である。これは当初の計画通りの進捗具合である。

今後の研究の推進方策

ブラッグピーク拡大装置として新たなリップルフィルターの選定に成功し、現在は基礎データの取得を進めている段階である。今後はこのデータ取得を進め、治療利用に必要なデータを揃えていく予定である。データが揃った後、各粒子線について、模擬的な照射を行い、治療計画通りの照射が実施できているか検証を行っていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

不均質材をいくつか試す予定であったが、想定より早い段階で性能の良い製品を得ることができたため。また新型コロナウィルスの影響により学会等も少なく発表の機会が無かったため、次年度へ繰り越すこととなった。来年度は選定したフィルターの予備品やデータ取得に必要な実験関連機器等に用いる予定である。発表の機会があれば、学会への旅費等にも使用予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Application of lung substitute material as ripple filtr for multi-ion therapy with helium-, carbon-, oxygen-, and neon-ion beams2021

    • 著者名/発表者名
      Taku Inaniwa, Yasushi Abe, Masao Suzuki, Shung Hyun Lee, Kota Mizushima, Taku Nakaji, Dousatsu Sakata, Shinji Sato, Yoshiyuki, Iwata, Nobuyuki Kanematsu and Toshiyuki Shirai
    • 雑誌名

      Physics in Medicine & Biology

      巻: 66 ページ: 055002

    • DOI

      10.1088/1361-6560/abde99

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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