研究課題/領域番号 |
20K16811
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
孫 略 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (40757704)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 放射線 / 免疫治療 / 生体材料 / がん |
研究実績の概要 |
放射線治療はがんの三大治療として知られており、本邦では約30%、その他の先進国では約50%のがん患者がなんらかの放射線治療を受けている。放射線治療は局所治療として知られているが、稀に抗腫瘍免疫を強力に賦活化させてアブスコパル効果を誘発することがある。 一方、シリカ含有材料などの多孔微細材料が、がん治療領域で注目されている。無機材料はこれまで整形外科領域で用いられることが多かった。しかし、近年になって、そのアジュバント機能やドラッグデリバリーの担体としてがん治療に効果を発揮する可能性が、多くの論文や特許で示されている。 本研究では、市販の多孔シリカ、あるいは他の自作材料が抗腫瘍効果を示す可能性に着目し、「それらの多孔微細材料と放射線治療との併用」や「放射線+多孔微細材料+その他製剤の組み合わせ治療」による免疫賦活化活性を検討し、そのおおよそのメカニズム解明を目指している。初年度は、CT26大腸がん細胞移植担癌マウス放射線治療モデルとLLC肺がん細胞移植担癌マウス放射線治療モデルを立ち上げ、実験が実施できるようになった。さらに、免疫強化が期待できる製剤をピックアップし、独自のスクリーニングを培養細胞レべルで実施した。その結果、放射線治療との併用によって抗腫瘍免疫を活性化しそうな物質Aを見出した。さらに、そのメカニズムについて細胞系を用いて解析し、その効果をマウス実験により確認した。また、新たな候補となる物質Bについても解析を行い、さらなる検証実験を開始した。今年度は、論文投稿を見据えて物質Aについて解析を進めた。物質Bは想定された効果が出なかったため、実験を中止した。一方で、放射線増感作用を持つ物質を軸に様々な複合材料を共同研究者らと開発した。最終年度はこの複合材料の放射線増感作用と免疫賦活化作用の検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複数種類の自作材料が合成できており、薬効の解析や薬理メカニズムの解明が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
自作材料を中心に、放射線増感効果、(放射線治療併用による)免疫活性化作用、およびそのメカニズム解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が10,762円のため、順調に予算を使用し研究を進めている。
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