研究課題/領域番号 |
20K16813
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
鈴木 基史 北海道大学, 薬学研究院, 助教 (90807801)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 放射線治療 / PETイメージング / 免疫チェックポイント阻害剤 |
研究実績の概要 |
放射線治療は免疫を活性化することが知られている。そのため放射線治療と免疫チェックポイント阻害剤の併用は有用であることがすでに臨床においても証明されている。しかし、放射線照射後の免疫を評価する手段が乏しいため、放射線治療によっていつ、どれくらい免疫活性が高まるのかなどの情報を得ることができない。申請者は放射線によりがん組織の代謝が大きく変わること、また免疫細胞の機能が組織内の代謝環境に依存することに着目し、「放射線照射によって生じるがん組織の代謝機構の変化と抗腫瘍免疫には密接な相互作用がある」と仮説を立てた。この仮説が立証されれば、がんの代謝変動を捉える手法として確立されているPET (positron emission tomography)によるイメージング技術を免疫の評価法として応用できる可能性がある。本研究からPETイメージングにより放射線治療後の免疫を評価できれば、併用に適した照射法の設定や併用すべき患者の見極めなどにつながる。 本年度は、マウス由来のがん細胞を移植した担がんマウスにおいて、放射線治療と免疫チェックポイント阻害剤である抗PD1抗体による治療を併用した際の治療効果および腫瘍内に浸潤する免疫細胞の種類の同定などを行った。その結果、PD1治療により腫瘍内に浸潤する免疫細胞は増加するものの、放射線照射を行うと一時的に減少することが明らかとなった。また放射線照射後の細胞において代謝に関わるタンパク質群が変化するかについて検証したところ、顕著な変化は観察されなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた治療線量では腫瘍がほぼ消失してしまい、適切な実験条件の設定などに時間を有したことから十分な実験サンプルを得ることができなかったため、やや遅れていると自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
放射線を照射した際、または免疫チェックポイント阻害剤による治療を行った際にどの様に代謝PETイメージングの結果に差が出るのかについて検証する。また、それら代謝に関わるタンパク質群などについて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加予定であった学会などにオンライン参加へと変更したため。 使用計画については一部遅れている実験を行うための消耗品や、現在準備中の英語論文の英文校正費に支出予定である。また,国内外の学会参加費も支出予定である。
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