IgG4関連疾患患者において,腹部大動脈周囲炎あり郡となし郡の2郡にわけて,各種モダリティの画像データ,血液検査値,患者情報をもとに比較,解析を行った.患者要因に有意差はなく,血液学的検査ではIgGであり郡に有意差を認めた以外,IgG4値を含めて有意差は認めなかった.これらは概ね諸家の報告と同様であった.画像所見では動脈の石灰化,造影後期相での内中膜の低吸収帯所見に,あり郡で有意差を認めた.動脈拡大に関しては,腹部大動脈径(mm)を経過観察期間(年)で補正した値で,あり郡に有意差を認め,大動脈周囲炎の存在は動脈径拡大に寄与していると考えられた.大動脈周囲炎あり郡において,腹部大動脈径(mm)を経過観察期間(年)で補正した値を目的変数とし,説明変数として単変量解析でp<0.2の網羅的評価項目を用いて多変量解析を行うと,初回動脈内腔長径と病変形態が境界明瞭であることが正の相関を示した.IgG4関連疾患患者で腹部大動脈周囲炎を伴っている場合,これら2つの因子が動脈径拡張の予測因子と考えられた.
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