本研究の当初の計画では、培養細胞実験とショウジョウバエ実験を並行して行う予定であったが、ショウジョウバエに対する超高線量率陽子線照射(FLASH照射)実験を優先的に行うこととした。野生型ショウジョウバエの三齢幼虫と処女雌成虫を用いて、通常線量率照射群とFLASH照射群の比較実験を行った。照射後遺伝子発現解析では、線量率の違いにより特定の遺伝子において遺伝子発現レベルが異なることが観察できた。一方で、処女雌成虫に対する照射実験において、その第一世代子孫(F1)の蛹化率・羽化率、羽化後の単位時間当たり活動量を評価したが、いずれの項目においても線量率の違いによる有意な差は認めなかった。
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