気管切開術を施行された児(気切児)本研究は下気道感染症状を呈する気切児に対して、1)multiplex real-time PCR(以下パネル)検査により細菌感染群と非細菌感染群に分類し、2)両群における臨床症状・新規バイオマーカーを含む血液マーカー・喀痰培養結果について比較検討することで、気切児における下気道細菌感染症の特徴を明らかにし、有用なバイオマーカーの探索を行うことを目的としている。 研究開始後から新型コロナウイルスのパンデミックが始まり、入院患者の減少ならびに気道分泌物採取の手順や管理の変更によって症例集積が一時困難となった。また、予定していたパネルキットでは新型コロナウイルスをカバー出来なかったため、新型コロナウイルスを対象に含むFilmArray呼吸器パネルを使用することにしたが、これによりパネルによる細菌感染症の検索対象が部分的となってしまった。 今年度は前年度同様、検体の収集と解析を継続した。本年度は新型コロナウイルスの影響は少なくなり、症例数は増加した。また、喀痰検体を用いた下気道感染専用のパネルが市販開始されたことにより、Filmarray呼吸器パネルをBioFire肺炎パネルに変更した。これにより、パネル検査によってウイルス感染症だけではなく、下気道感染症をきたす主な細菌感染症の検索も出来るようになった。症例は29例となり、BioFire肺炎パネルキットも使い切ったところで症例集積は終了し、血液マーカーや臨床像などの解析を行った。
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