研究実績の概要 |
本研究では、ダウン症に伴う一過性骨髄異常増殖症の胎児肝における発症と骨髄における急性巨核芽球性白血病の再発にhomingに関わる分子が関与しているとの仮説を立て検証を行うことを目的とした。 染色体検査G分染法にて21トリソミー、GATA1遺伝子検査にてexon2にフレームシフト変異を確認し、ダウン症に伴うTAMと診断した患者の御両親より同意を取得し、末梢血残余検体よりTAM芽球を分離してin vitroでの培養実験を行った。2021年度までの結果を踏まえて培養条件を①DMEM+10%FCS+rIL-3(50ng/ml), ②EPCR誘導条件: DMEM+10%FCS+UM729 500nM/ml+rIL-3(50ng/ml), ③EPCR誘導・UM729高濃度条件: DMEM+10%FCS+UM729 5μM/ml+rIL-3(50ng/ml), ④CXCR4誘導条件: DMEM+10%FCS+rIL-3 50ng/ml+0.1%O2の4つの条件を設定して培養を行った。EPCRはUM729の濃度依存性に発現が増加すること、低酸素培養にてCXCR4の発現が増加することが確認できたが、低酸素培養でのCXCR4の発現増加は軽度であった。①~③の培養条件にてin vitroでの芽球細胞増殖を確認した。②EPCR誘導条件においてのみin vitroでの芽球の増殖が確認できた。 EPCR誘導条件、EPCR誘導・UM729高濃度条件、CXCR4誘導条件にて培養した芽球を用いて新生仔ならびに成体免疫不全マウス(NSGマウス:NOD.CgPrkdcscidIl2rgtm1Wjl/SzJ)に対して異種間移植を施行した。いずれの条件で培養した細胞においても芽球の生着は得られておらず、芽球のhoming receptor発現の違いとTAM、ML-DS発症との関連性を示す事は出来なかった。
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