研究実績の概要 |
RSウイルス(RSV)は乳幼児の気管支肺炎の主要な原因ウイルスである。早産児の合併症である慢性肺疾患(BPD)児はRSV感染により重症化することが知られているが重症化のメカニズムは解明されていない。R3年度はR2年度に引き続き、樹立させたBPDマウスモデルにRSVを感染させ、BPDマウスのRSV感染モデルを作成し、感染後の炎症反応の違いを検討した。生後12時間以内のBALB/c新生児マウスを大気下と95%高濃度酸素下にそれぞれ7日間飼育し、コントロールマウス、BPDマウスとした。それらを大気下で1ヶ月間飼育し5 -6週齢のマウスを実験に用いた。RSVはA2株をHep-2細胞を用いて培養し、 -80°Cで保存しておいたものを使用した。RSV、紫外線で不活化したRSV、培地のみ(コントロール)の3群として10uLずつ経鼻的に感染させた。 感染後2、4、6日のマウス肺からmirVANA-microRNA isolation kitを用いてmRNAを抽出した。定量的PCR法を用いて、IL-4, IL-13, POSTN mRNA量を測定した。コントロール、紫外線不活化RSVに比べ、RSV-BPD群で感染後4、7日目の肺組織中IL-4, IL-13 mRNAの上昇を認めた。POSTNは変化を認めなかった。本実験により、RSVの感染性によるBPDマウスモデルの炎症反応の違いが示された。今年度もRSV感染によるBPDマウスモデルの炎症生サイトカイン産生の違いを示すことができた。慢性肺疾患児のRSV感染重症化メカニズム解明へ向けてさらなる研究を進めていく。
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